高齢者施設(特別養護老人ホーム、デイサービスなど)や病院で働いている職員や感染症に興味がある方は、ぜひご覧ください。
インフルエンザの湿度対策
まず、感染症(インフルエンザウイルス)の知識面を学んでもらいたいと思います。要は、感染症対策をするには感染症を知る事が必要です。
インフルエンザ対策で湿度管理をしたいのであれば、インフルエンザウイルスと湿度について知る事が大切です。
インフルエンザ対策として、「湿度50%から60%を保ちましょう」と言われていますが、理由を知っていますか?
または、そのように言っている指導者は、理由を答えれますか?
その答えの一つが、湿度を保つ事により、口腔内等の粘膜の乾燥を防ぐ事になります。
「インフルエンザウイルスが(死ぬ)不活性化になるんではないですか?」という考えもありますが、それなら湿度だけでなく、温度と時間も伝える事が必要です。
G.J.Haper(ハーパー氏)の論文
1961年にG.J.Haper(ハーパー氏)によって発表された<Survival test with for viruses>と題する論文が有名です。それを確認すると、室温22℃以上湿度50%以上がインフルエンザ対策に有効だと考えられます。
しかし、この室温と湿度を鵜呑みにしてはいけません。
湿度の種類
湿度管理の重要な知識の一つとして、絶対湿度と相対湿度があります。湿度管理の会議の中で、よく耳にするのが「室温が高い方が湿度が高くなる」という適当な説明です。
日本では、夏に湿度が高く冬に湿度が低い事から、この様なイメージになるのは仕方ありませんが、しっかり調べてから発表しましょう!
室温が高くなると、相対湿度は下がりますが絶対湿度は変わりません。しかし、空気中に溜め込める水分量は増えます。
これだけの説明で理解できる人は、絶対湿度と相対湿度をある程度理解できていると思われます。

相対湿度は、よく使用されている湿度計に出る数字です。これは、温度により変化します。
絶対湿度とは空気中の水分量なので、温度が変化しても、変わりません。
空気中の水分量が同じ場合、温度が高いと湿度が下がり、温度が低いと湿度が上がります。
気温10℃で湿度100%と気温20℃で湿度100%では、両方相対湿度は100%ですが、絶対湿度(空気中の水分量)は気温20℃の時の方が多いのです。
相対湿度100%が限界ですが、温度上げることで90%や80%になります。
逆に相対湿度100%なのに温度を下げると、どのようになるか気になりませんか?
簡単な例が、冬や朝方に窓につく結露です。
十分な水分を含んだ温まった空気が、窓に当たり瞬間的に温度が下がります。
その為、空気として含んでいた水分が水に変わってしまうのです。
また、時間にも注目してください。
室温22℃以上湿度50%以上に保てればインフルエンザに感染しないわけではありません。
その状態に保ったとしてもインフルエンザウイルスが一瞬で不活性化するわけではないのです。
湿度を高くする理由
厚生労働省のインフルエンザQ&Aでも、 適度な湿度の保持について、「空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。」と答えています。「粘膜の保護以外でも、床に落ちたインフルエンザウイルスが埃などと一緒に舞い上がる事を防いでくれます。」といった意見もあります。
一理ありますが、「インフルエンザの空気感染は、ほとんど無い」と言われています。
空気感染が全くないとは言い切れないが、重要な感染経路ではないという事です。
加湿器の設置
まず、加湿をどのように行うことが良いと思いますか?思いつくのが加湿器だと思います。
これは一概に正解だと言えません。
その理由が、病院や施設など大きな空間の湿度を管理することが難しいからです。
しかし、個室で扉を閉めた状態なら、加湿器で対応できるでしょう。
次に加湿器を使用して湿度を保った場合に結露対策を完璧に行う事が難しいからです。
しかし、窓に断熱フイルムを張れば、結露は出にくくなるでしょう。
次に加湿器でよく問題になるレジオネラ菌対策です。
空気清浄機と併用できる超音波式の加湿器は、水がたまる部分にレジオネラ菌が繁殖し、その菌が水蒸気と一緒に空気中に飛んでしまうのです。
健康な人なら問題ありませんが、高齢者や幼児など免疫力が低い人は、そのことが原因で肺炎になり死に至る事もあります。
しかし、これもスチーム式の加湿器を使用すれば問題ありません。多少電気代は高くなりますが。
観葉植物も加湿に効果があると言われますが、大きな空間の加湿をするには、かなりの量が必要なので現実的ではありません。
バスタオルやタオルを濡らして干すことも、加湿に大きな効果をもたらしますが、その労力はかなりのものです。
ピンポイント加湿が有効
私が伝えたいのは、ピンポイント加湿です。ベッドで寝ている人には、ヘッドボードに濡らしたタオルを置く。(病院や施設なら巡室のタイミングでタオルに霧吹き)
エアコンの風を顔に当たらないようにする。
マスクをする。
こまめに水分をとる。(うがいも含む)
パソコン業務中心の職員ならパソコン横に加湿器を置く。
などなど、ピンポイントで加湿をする事です。
寝たきりの人は難しいと思われますが、空気感染はほとんどありません。
接触感染と飛沫感染で感染するのです。
寝たきりの人が感染した場合、それは他者(職員)の責任です。
職員がマスクをして接する。職員が清潔な手で介助すれば、感染する事は無いのです。
世間では、インフルエンザ対策として、加湿について大きく取り上げていますが、本質を見極めることが必要です。
以前にも説明した、クレベリンの効果について、消費者庁から改善命令が出ている事が良い例です。
世間に惑わされない知識を持つことが、自分自身を守る事になり武器にもなるのです。
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【インフルエンザウイルス感染予防対策 接触感染の考え方】→http://krkrkreichel.com/2015/11/05/%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%95%e3%83%ab%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%b6%e3%82%a6%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%82%b9%e6%84%9f%e6%9f%93%e4%ba%88%e9%98%b2%e5%af%be%e7%ad%96%ef%bc%81%e6%8e%a5%e8%a7%a6%e6%84%9f%e6%9f%93/
【感染症予防策 インフルエンザ対策の湿度の考え方 高齢者施設】→http://krkrkreichel.com/2016/02/14/%e6%84%9f%e6%9f%93%e7%97%87%e4%ba%88%e9%98%b2%e7%ad%96%ef%bc%81%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%95%e3%83%ab%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%b6%e5%af%be%e7%ad%96%e3%81%ae%e6%b9%bf%e5%ba%a6%e3%81%ae%e8%80%83%e3%81%88/
等、インフルエンザについて、多くの記事を書いています。
実際、高齢者施設で働く私が疑問に思い、参加した研修での講義内容も取り込んでいます。
施設管理者や感染症対策委員会などの人に読んでもらえれば幸いです。
意見や助言等あれば、コメントを入れてもらえれば助かります。
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