高齢者施設の事故、苦情トラブル|現場ができる事故対応策の事例!研修資料

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事故が減らない、事故が起きたらご家族から苦情がある。

現場職員は事故というリスクと毎日戦ってケアを行っています。

良いケアを目指したいけど、事故を防ぐことで手一杯になってしまう。

そんな介護職も多いのではないでしょうか。

今回は、事故に対してのリスクマネジメントの考え方をご紹介します。

リスクマネジメント.png

なぜ事故は起きるのかを正しく理解しよう!

入所している利用者の事故に悩んでいる施設は少なくないはずです。

高齢者の事故は転倒、転落が多く、外傷や内出血、誤薬などがあります。

頻繁には発生しませんが、入浴中の溺水事故も時折耳にする大きな事故です。

しかし、事故はそれだけではありません。

私物の破損や紛失、利用者間のトラブルなど数えきれないほどの種類があります。

それらを全て含めて「事故」です。

私の経験上では、100名入所の施設ならば、インシデント(ひやりはっと)事故も含めると一日一件程度は起きているのではないでしょうか。

ニュースになるような事故はおおむね重大な事故です。

厳密に言えば「施設側の過失があり、悪質性が疑われる場合」や「社会的に問題提起が必要で関心がある場合」です。

それ以外の場合は、ほとんどニュースになりません。

閉鎖的な施設環境もあって、起きた事故はご家族以外に漏れ出ることは少ないからです。

だからと言って、日常的に起きている事故を野放しにしておくことは問題です。

入所者にとって不利益になる事故を防ぐことは、ケアという観点でも重要です。

施設ではなぜ事故がこんなに起きるのかを正しく理解することから、事故を防止する取り組みは始まります。

まず、施設が置かれている背景が次の大きなポイント3つです。

・高齢者を介護する施設である

老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホームなど施設サービスについては、基本的に在宅での生活が困難であるために入所される方がほとんどです。

高齢者であり、日常生活に介護や支援が必要なのです。

「日常生活が困難」=「介護や支援がないと、生活上で事故が発生する」ということです。

事故リスクが高い方が入所されているという大前提を理解する事が需要になります。

・認知症や障害をお持ちの方が多数居られる

さらに、認知症や障害を持った方がほとんどで、なおかつ持病も複数持っています。

認知症については、介護側の助言や介助を理解できないことも多くあるため、通常の「気を付けるレベル」では対処しきれず、リスクをとても大きくします。

・少数の職員で多数の利用者にサービスを提供している

制度上の職員配置基準はもちろん満たしてはいますが、それは国が決めた最低限の人数ということです。

よって、多人数の入所者を少数で介護する環境です。

特に夜勤は、利用者100名に対して、職員が4名~5名で対応しなければなりません。

日中ならば対応できることも、夜に発生した場合には困難を極めます。

ある意味、改善しようもない背景がおわかりでしょう。

施設では事故が起きやすいことが簡単に推測できます。

この背景をきちんと理解できないまま、事故防止を推し進めると、職員は疲弊し辞めていくことになります。

事故が発生する前に!事故防止のポイント!

「事故が起きるのは仕方がない」と、諦めずに逆境の立場に身を置きながらも、事故を防止する取り組みをご紹介します。

・事故ゼロを目指す!ではなく、事故リスクの低減を目指す!

事故をゼロにする事は不可能です。

交通事故は減少傾向ではあるものの、ゼロにはなりません。

人間はミスをしてしまうのです。

「転倒事故防止」の例をご紹介します。

多い件数から始めれば、効果もすぐに実感できるでしょう。

・本人要因を改善。良質なケアが事故防止につながる

転倒事故を防ぐためには、まず評価をしましょう。

1か月に1回以上、転倒事故がある場合には「高リスク」です。

このような高リスクは対策をすぐに講じましょう。

下肢筋力が低下しているから転倒すると考えがちですが、半分間違いです。

半分は「歩行の仕方を忘れている」「脳の機能低下で認知判断力が低下」のどちらか、もしくは両方です。

歩行機能を維持するため、歩行の機会を設けましょう。

安易にリスクを恐れて車椅子にすると、いざという時に転倒事故が起きます。

歩行介助という良質なケアを実践することが、運動機能を保ち、事故リスクを下げることにつながります。

・環境要因を改善。ハードを充実させよう。ソフトは柔軟に変化させよう

認知症で歩行が不安定なのに立ち上がる方へは、センサーマットを活用しましょう。

センサーマットは、車椅子に敷くタイプやベッドサイドの床に敷くタイプ、など様々あります。

予測ができない行動に対して対処できるメリットがあります。

また、職員が気付けるという安心感が違います。

立ち上がりは何かのサインである場合が多く、素早くサポートすることで、ケアの質を上げる一助となります。

・職員の配置に気を配りましょう

夜間や勤務交代の時間などには、職員の数が少なくことも珍しくありません。

リスクがある方への介助方法も変化させましょう。

例えば職員が多い時間帯は、積極的に歩行や生活リハビリを行います。

少ない時には車椅子を積極的に利用したり、入所者に事情を伝えて生活のリズムを調整してもらったりと、ケアを一日の中で変化させることが効果的です。

この時間はケア、この時間は事故防止という感じです。

・介助者要因を改善。介助者が気付き行動すれば、事故は減る。

意外と多いのは、入所者の体調変化がきっかけの転倒事故です。

高齢者はもともと持病を持っている事が多く、体調が変化しやすくなっています。

便秘や下痢、めまいや倦怠感、そして発熱。

誰だって体調がすぐれない時はふらふらとします。

高齢者ですので、転倒のリスクは跳ね上がります。

体調の観察を行い、介護者が気付いた少しの変化も見逃さないようにしましょう。

いつもと何か違うと感じたら、転倒リスクがあると思いましょう。

医療職に相談をし、転倒を回避する工夫を実行する事が大切です。

バイタルサインを測定し問題ないから大丈夫と思われがちですが、バイタルサインに表れるのはその人の一部の情報だけです。

利用者と関わりの深い介護職の感じる変化を大切にしましょう。

介助中のミスや、手順の間違いはどんどん直していきましょう。

初めての業務などは、ミスが起きることを前提に計画します。

もし職員のミスが減らないようならば、現実的に難しいのでしょう。

諦めて違う方法を検討しましょう。

事故が起きても、ミスがあっても大丈夫。リスクマネジメントの4本柱

ご紹介した事故防止策は、ほんの一部です。

これをやったとしても、事故はゼロにはなりません。

しかし、事故は確実に減らせるのです。

そして、事故を管理(マネジメント)することもできます。

ゼロにならない事故に怯えるのではなく、リスクと上手に向き合っていきましょう。

・ご家族とご本人にご理解をいただく

施設に入所する際には必ず重要事項説明書のご案内をします。

その時に、施設での現状を丁寧にご説明しましょう。

施設の社会的存在意義から夜勤の職員配置までを簡便にお話をし、必ず「転倒などの事故リスク」についてご理解を得られるようにしましょう。

「転倒などの事故は防止したり減らしたりする取り組みを行っているが、職員配置や過去の事故発生動向からも、必ず防止できるとはお約束できない状況である」ことを率直に伝えましょう。

・ご本人様、ご家族様の事故への意識をうかがう

仮に病院や他の施設の利用経験がある場合、事故の有無をうかがうことも大切です。

事前にリスクを把握できれば、入所直後の事故を防ぐことができるヒントとなります。

また、事故に対する意識もうかがいましょう。

もし、施設にとってあまりに過剰な期待を思っているご家族の場合、応えられない時は苦情という形で表出されます。

骨折など重大事故が発生した際は、施設が訴えられる場合も考慮しなくてはなりません。

なにより、ご家族様やご本人の期待を裏切るという形は、良いことではありません。

施設の現状とミスマッチが大きすぎる場合には、丁寧にご説明を行いましょう。

・事故発生時に聞かれることは、理由です

事故は発生します。その時は状況をご家族やご本人にご説明しますが、必ず理由を聞かれます。

窓口担当者は事実を説明しますが、最もまずいことは、原因不明です。

事故には必ず原因がありますが、現場職員もご本人も原因がわからないとなると、この施設は何かを隠しているのではと思われることがあります。

逆に言えば、きちんと説明できれば納得できれば大きな問題にはならず、事故防止の次のステップにスムーズに進むことができます。

説明のポイントは、①タイムリーに報告、②原因の説明、③原因に対する防止策、④今後の見通し、⑤謝罪です。⑤については、施設側に過失が全くない場合、状況をみて言い回しを判断しましょう。

・記録に始まり、記録に終わる

やはり介護は記録が重要です。

事故報告書はもちろん、ケアの記録も大変重要です。

特に大きな事故の場合は、苦情や申し立て、裁判などになるリスクが伴います。

その時は第三者から調査を受けることになりますが、記録を確認することになります。

記録にモレやミスがあると、その信用性に疑いがかけられますし、間違った記録の場合は修正困難になるでしょう。

正しい記録の仕方を日常的に行う努力が必要です。

また、事故報告書は「始末書」ではなく報告書です。

提出すると叱られる、査定が下がる、責任を取るなど、原則あってはいけません。

報告書を提出する気持ちが生まれにくくなって、隠蔽心理を助長してしまいます。

上司は、報告書の提出には褒めることが大切です。

事故は心理的に隠したくなり、大事にしたくないという気持ちになりやすいものです。

しかし、それが逆に不信感を持たせ、事故を防止していこうという前向きな気持ちをダメにしてしまいます。

どの施設でも起きる事故。

ゼロにはできないけど減らせる。

そして、事故と上手に向き合いながら、良質なケアにつなげていくことは、不可能ではないはずです。

まずできることから始めて、ステップアップを確実にしてきましょう。

私は、特別養護老人ホームで介護職として働いています。

皆さんと交流を持てたらと思いますので、記事以外の質問等にも返答させていただきますので、ぜひコメントをください。

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高齢者施設の事故、苦情トラブル|現場ができる事故対応策の事例!研修資料” に対して1件のコメントがあります。

  1. 元平将一 より:

    フェイスブックでシェアされていたので、拝読いたしました。
    僕は4年間地密特養で働いて、「介護は無理だ」と介護福祉士を諦め社会福祉士の勉強を始めた経緯があります。
    今は、最後に勤めた地密特養の縁で同法人の老健施設内で事務員をしていますが、事故やリスクマネジメントの話はよく出て来ます。
    老健はPTやOTが積極的に歩行訓練や下肢筋力の訓練をしてくれますが、特養では、どの施設でも介護職員が何でも屋さんになっているので、見守りや生活リハビリなど本来の介護業務が相対的に疎かになりがちだと、僕は思っていました。掃除、洗濯、ベッドのシーツ替えだけでもしてくれるパートさんが居ないものかなぁと、常日頃思っていました。
    十分に目が行き届いていれば防げた事故がたくさんあったので、介護職員時代は大変歯痒い気持ちで仕事をしていて、ある時「もう無理だ」と、離職しました。
    介護職員を何でも屋さん化しない事が、介護施設では大事なことかもしれません。

  2. カッチン.com より:

    コメントありがとうございます。
    平元さんのコメント内容を見て、介護職は看護師などと同様に専門家としての地位の構築が重要だと再確認できました。
    また、これを見た介護職の人は共有できる部分が大半なので、今後の働き方の意識が変わると思います。
    貴重な意見をありがとうございます。
    他の記事に関してもアドバイス頂ければ幸いです。

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