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目次
虐待の被害者は高齢者
最近になり、福祉施設などにおける虐待のニュースは、連日のように目にすることと思います。
これは、虐待を対応する窓口がはっきりしたことや虐待という言葉が世間的に浸透したことが大きな要因だと言われています。
この虐待の被害者で一番多いのは、弱者である高齢者です。
施設に勤務をしている介護職は自分が何気なく行っていることが、もしかしたら虐待に繋がっているのではないかという意識を常に抱いていなくてはなりません。
介護における虐待は、暴力行為などが主にあります。
高齢者虐待の基準は
暴れる入居者を抑えて入浴介助や更衣などを行うと場合によっては、虐待と見なされることもあるのです。
重度の認知症の方などは入浴や排泄介助に対して拒否を示される方も少なくはありません。
拒否が強くて暴れている時には、落ち着くまで時間をおくことやしっかりと声かけを行うことを求められます。
しかし、介護をしている方なら分かるとは思いますが、声かけなどをどれだけ行っても落ち着かれない方もいます。
また、時間をおくといっても脱衣をして暴れ始めた方を落ち着くまでと裸のままで放置していると、これもまた虐待となってしまいます。
これが介護における虐待の難しいところだと悩まれる方が多いのですが、介護における基準は入居者にとって何が最善かを考えることです。
脱衣場で裸で放置していることは人権侵害に繋がりますし、風邪を引いてしまったり体調に悪影響を与える可能性もあります。
このように入居者に被害が及ぼす可能性がある場合は虐待と見なされると言えます。
その場合は、早急に服を着せてあげることを優先しなくてはなりません。
嫌な記憶は残ってしまう
大暴れして更衣困難の場合は、手を持つなどもやむを得ない場合もありますが、アザが出来るほど強く握ったり、必要以上に長時間や大人数で押さえ付けることは恐怖心を与えるため、少人数で声かけをしながら行うことが大切となっています。
認知症高齢者は、嫌な事はしっかりと記憶されるので、入浴時に適切な介助を行わないと入浴拒否に繋がる事もあります。
不適切ケアの積み重ねが、入居者と介助者を苦しめる悪循環になる事も理解する必要があります。
また、近年では暴力行為だけの虐待ではなく、言葉の暴力なども大きな問題となっています。
排泄介助中に「臭い」「便ばかりするな」「また、おしっこ」などといった暴言が問題となりました。
このような発言は入居者の自尊心を奪ってしまうことになりかねません。
傷ついていても反論することも出来ない場合も多いのです。
また、このような暴言から認知症高齢者が「トイレに行きたくない」と水分を摂らなくなったという例もあります。
言葉の暴力も虐待
恐ろしいことに、暴力行為であればアザや傷などによって証拠をつかめることが出来るのですが、言葉の暴力は見た目では分かりにくい虐待となっていますので気づくことが出来ないのが現状です。
介護施設においては暴力行為以上に言葉による虐待に敏感となっている傾向にあります。
ついつい「臭い」「重い」などの言葉がでがちですが、自尊心を傷つけるような言葉を発することは虐待へと繋がります。
気を付けなくてはならないというよりも、入居者の一人ひとりの気持ちを尊重して介護にあたっていると決して出てこない言葉ですので、一緒に働いているスタッフなどがおかしな言葉遣いをしているなと感じたら、報告し合うことが大切となっています。
言葉の暴力が始まると、殴るなどの行為に発展する可能性もあるのです。
虐待に繋がる言動
殴るなどの暴力行為や言葉による虐待も問題となっていますが、きちんとした対応をしないことも虐待へと繋がることは意外と認識が薄いと言えます。
例えば、挨拶をしない、赤ちゃん言葉を使う、声かけをしないなども虐待となるのです。
重度の認知症になりますと、言葉を発することが出来なかったり、こちらが声かけをしても無反応であることは多いため、起床時に挨拶もしなかったり、介助するときに声かけを行わずに無言で排泄介助へ入浴などを行うことは自尊心を傷つけると見なされて、虐待に繋がるのです。
虐待の形は様々ですので、自分が何気なく行っていることが虐待に繋がっているかもしれない、スタッフが行っていることは虐待にはならないのかと不安を抱く方も多いのですが、虐待の定義は実に簡単なのです。
入居者のことを尊重して対応していなければ全て虐待に繋がると言っても過言ではありません。
一人ひとり尊重して対応していたら、虐待に繋がるような行為には至らないと言えます。
尊敬している高齢者などに挨拶をしないといった方はいないと思います。
尊敬している人に臭いなどといった言葉を発することは決して行わないと思います。
尊敬している人が大暴れをしていたら、優しく声をかけて傷つけないように包み込んであげると思います。
これを言ったら傷つくのではないかと思ったら、その言葉は虐待となります。
しかし、恐ろしいことに虐待をしている本人は自覚がないことも少なくはないのです。
そのため、常に自分の対応に疑問を投げ掛けることが大切となります。
「今の言葉を自分が言われたら」「もしくは大切な人が入院している時に同じような対応をされたら」「大切にされていると感じるだろうか」など、常に第三者の目線で自分の対応を見直すことで知らない間に虐待を行っていたといった事態を避けることができますし、正しい対応が出来ると言えます。
大切なのは常に相手の気持ちに寄り添うことと、客観的に自分自身の介護方法を見直すこと、さらには施設内で意見の交換を行うことも施設全体の質を上げて虐待防止へと繋がります。
この記事は、高齢者施設で働く新人教育の研修資料として作成しました。
新人に対しては、法律面など難しい事は省き、感覚として高齢者虐待はこのようなものと伝える事も時には重要になってきます。
また、対応や対策などもしっかりと伝える事が重要です。
そして、一番大事な事は、理由を伝える事です。
これは、どの研修でも言える事ですが、目的や理由を明確にしないと雰囲気でだけしか伝わりません。
その研修に参加した人が、次の新人にも指導できるように教育するところまでが新人教育となります。
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