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目次
ケアマネジャーからの相談
今回は、居宅のケアマネージャーから相談を受けていた事を記事にしました。
介護の現場で働いている人は、「いつかケアマネージャーになりたい」と思っている人もいると思います。
なかには「現場より楽だろう」と思っている人もいるかと思います。
介護の現場だけが、大変だとクローズアップされている部分がありますが、ケアマネージャーにも様々な問題があります。
ケアマネージャーの現状を知ってもらえたらと思います。
在宅での生活が最重要項目
介護業界に入って20年弱、居宅のケアマネージャーをして7年。
日々介護を取り巻く現実や問題には直面しています。
今は在宅の人を支援する立場ですので、やはり在宅でいつまで元気に生活してもらえるか、最重要項目です。
介護保険が施行されて17年。
一般の人にもある程度浸透もしたし、知識のある人も増えました。
かなりの頻度で改正のある介護保険ではありますが、うまく利用すればたいていの人は在宅で生活できる時代になりました。
ただし、ある一定レベルを超えた認知症の人を除いてです。
介護の現場
私は介護の現場でも長く働いていました。
特別養護老人ホーム、老人保健施設、有料老人ホーム、グループホームと、いろいろな種類の施設で働きましたが、どこへ行っても認知症の人が多かったです。
グループホームは認知症の人のみを対象としていますが、他の施設でもかなりの割合を占めています。
レベルとしても、会話が成り立たないとか、意思疎通が困難、暴力的な人から逆に全く動かない人まで、認知症に関しては本当に症状は多岐にわたります。
施設に関しては賛否両論あるでしょうが、認知症の人が安心して生活する場としては、もしかしたら他に選択肢はないかもしれません。
一方、在宅で生活されている要介護者の方々。
要支援1の「本当に介護いるの?」という方から、要介護5の完全に寝たきりの方まで、在宅にはいろんな方がいます。
たとえ要介護5で寝返りも打てない、食事食べられない、トイレも行けないという人でも、身体的な問題だけが主であれば、たとえ一人暮らしであっても在宅生活は可能です。
在宅での生活が困難な事例
一番大変なのは、元気な認知症の方です。
徘徊や高齢者の自動車事故のニュースが世間を騒がせていますが、歩ける認知症ほど大変なことはないと思います。
そして、そこまで進行してしまった場合、はたしてどこまでも在宅でというのが本当に幸せなのか。
今まさに直面している方がいるのです。
Aさんは一人暮らしの女性で、まだ70歳を過ぎたところです。
今の70歳は本当に元気ですよね。
Aさんもご他聞にもれず、非常に足腰が達者で、特に身体に悪いとこともないし、一見若々しいマダムです。
認知症の診断
そのAさんが、認知症を診断されたのは60歳代のはじめのころ。
認知症はいろいろなタイプがありますが、若くして発症すればするほど進行は早く、悪化しやすい傾向にあると思います。
遠方に住む息子さんがなかなかお母さんの認知症を認めてくれず、しかるべき機関にかかるまで数年をようしてしまいました。
余談ですが、多くの息子さんは、なかなか自分の母親の認知症を認めない傾向にあります。
娘さんのほとんどがあっさりと行動に移られるのに対して、私がこじれた利用者さんに関しては、ほとんどのキーパーソンが息子さんでした。
客観的に見ることができず、たまたまだろう、まだ大丈夫だろう、もともとの性格だろう、疲れているんだろうなどなど、こちらから周辺症状の報告をしても全く認めてくれなかった息子さんが、やっと病院に連れて行ってくれたのは2年後。
認知症の進行でAさんが食事に対する関心を失ってしまい、がりがりに痩せていったのです。
週に一回だけデイサービスには行っていたのですが、それ以外はずっと一人。
私が訪問するたびに部屋は荒れ、着ているものもおかしいし、話すこともほとんど現実とは違うこと。
いつもニコニコされていたので、デイサービス等でのトラブルはありませんでしたが、冷蔵庫の中に靴が入っていたり、食器棚に一口かじっただけのパンが何十個も詰め込まれて、全てカビていたり。
これ以上は、ほっておけないということで、民生委員や地域包括支援センターに相談し、みんなで情報を共有、ヘルパーさんを入れたりデイサービスを増やしたり、あれこれしたのですが息子さんは動いてくれず。
激減した体重の表を持って「頭じゃなくてもいいから身体を調べてきてほしい」と頼み込み、ようやく受診されました。
その時の長谷川式の点数は13点。なかなかの認知症です。
できれば区分変更をして(当時はまだ要支援2でしたので、使えるサービスもしれていました)、デイサービスなんかを増やしたいと息子さんに話したのですが「なんとなく一人で生活もできているし、まだ必要ない」と断られました。
そして1年たち2年たち、何度も話し合いの場を設けましたが状態は変わらず。
要介護になってもサービスを増やすことなく、汚れ放題の家の中で何を食べているかわからず、独り言を言い続けていたAさんの認知症が一気に進んだのは今年の春からです。
今後は施設に入所か?
いろいろな声が聞こえ、突然怒鳴りだす。
近所中から悪口を言われていると憤慨し、突然家から飛び出して当たりかまわず怒鳴り込みに行く、警察に通報したりごみを投げ入れたり、挙句は自分の家に帰るといって徘徊し家に帰れず保護される。
こうなると近所とのトラブルも多く、どうしようもありません。
区分変更をし、周辺症状の多いAさんは、身体はぴんぴんしているのに要介護4が出ました。
今は暗くなると外出しないので、毎日夜遅くまで延長しているデイを使用しています。
今後、夜も外に出るようになれば、おそらく在宅での生活は難しいでしょう。
ご近所とかなりもめたとき、「施設に入れてしまえ」と怒られました。
認知症の、ましてや一人暮らしの人が、地域の理解と協力を得ながら生活していくのは、まだまだ難しい世の中です。
施設に入れることは決して要介護者を見捨てることではないので、そのあたりの線引きは正しくひいて、安心して生活できるように支援したいと思っています。
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