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目次
はじめに
私は現在現役で、かれこれ10年に渡って介護福祉士として働いています。
終身型の特別養護老人ホームです。
認知症、難病、精神疾患を患っている方を主に担当しています。
その中の「認知症」。
人それぞれ認知症のパターンは違い介護の仕事をしている中で本当に苦労します。
認知症ケアの事例
今回は、Aさん87歳の男性の方の認知症ケアの事例を紹介します。
Aさんは80歳の奥様と、独身で55歳の息子さんの3人暮らしをされていました。
Aさんは階段で転倒し左足を骨折しました。
手術は成功しました。
しかし、退院後から寝たきり状態となり、奥様が介護していたのですが認知症が急激に進み、他のホームヘルパーと協力し介護をしていました。
ですが、奥様も高齢で老老介護の状態でした。
このままでは認認介護にもなる可能性がある状態です。
体が不自由になり思い通りにいかないことで奥様に手を上げられたり、暴言を吐くということもあったそうです。
息子の協力が虐待に
ホームヘルパーは24時間の介護ではないので、夜間などに協力してくれたのが息子さんだったようです。
ですが、息子さんは自分の父親の今の姿を受け入れられなかったのです。
怒鳴るAさんに対し、息子さんは暴力で返すようになってしまったのです。
いわゆる高齢者虐待でよくあるパターンです。
夜中のうちにオムツを取ってしまうAさんに身体拘束という手段を選んだのです。
両手を介護用ベッドに縛り付けてしまいました。
ホームヘルパーが来る前に外し、帰ったあとに縛る。
そんな生活を数ヶ月も行っていたようです。
身体拘束が発覚したのは毎日のように増えていく生々しい傷のあとでした。
虐待から施設入所に
不審に思ったホームヘルパーが事情を確認したのです。
すると「このままでは母も僕も倒れてしまいます、その前に父を殺してしまうかもしれない。そこまで僕たちは今、父のせいで追い込まれているんです」
息子さんは今の正直な気持ちを全て話してくれたそうです。
しかし、だれが息子さんを責められるでしょうか。
私は息子さんだけが悪いとは思えませんでした。
そこまでAさん家族を追い詰めた今の介護のシステムではないでしょうか。
一人一人に分かりやすく、もっと優しい介護のシステムであれば、こんなことにはなってなかったと思います。
Aさんは命の危険もあり、特例で私が働く老人ホームへ入所されることになりました。
入所された際、体中には数多くの痛々しい傷跡、打撲跡がありました。
息子さんはAさんを私たちスタッフに預け「父の事をよろしくお願いします」と深々と頭をさげられました。
そして「お願いがあるんですが、父はお酒が大好きで毎晩のようにストローで日本酒を飲ませていたので、寝る前に少しだけ飲ませてあげてくれませんか?」と言われました。
ここの施設は家族又は本人が望むことであれば極力希望に添うような形にしていたので承諾しました。
周辺症状(BPSD)
夜になるとAさんは「かぁちゃん、酒くれ~、早く持ってこい!」と大きな声をあげました。
お酒を一口飲むと笑顔がこぼれ「うまい、うまい」と言っていました。
しかし、しばらくするとまたお部屋から大きな声で「かぁちゃん、かぁちゃん」と呼ぶのです。
それがほぼ朝まで続く時もありました。
施設での生活になかなか慣れずハイハイをした状態でお部屋から出てきては、他の入所者に物を投げつけたり、暴言を吐かれたりということもありました。
スタッフに対しても同じような行動が続きました。
「家へ帰る!こんな所には居たくない、家へ連れて行け!」
落ち着かれるまでには数時間かかるときもありました。
将棋クラブで改善
そんな中Aさんはこんなことをいったのです。「前みたいに仲間と将棋がやりたい」
スタッフで話し合った結果、将棋クラブを作ることになりました。
これまでにも、折り紙、手芸、カラオケというものはあったのですが、将棋はありませんでした。
そのためにもAさんには、リハビリをして頂くことになりました。
長年の寝たきり生活で足腰だけではなく、手の動きにも苦戦していたからです。
認知症で言葉が通じ合わなかったこともあったのですが、将棋をやれると理解されてからは嘘のようにハキハキとリハビリに取り組み初めました。
理学療法士、作業療法士、その他が協力し、あみだしたのは将棋の駒を使ったリハビリでした。
Aさんは将棋の駒を見ると目がすごく輝いていました。
将棋の駒を掴む、ひっくり返す、落ちた駒を拾う。
そんなリハビリが数ヶ月続き、いよいよ将棋クラブを作り、希望者を募集しました。
施設で暮らす入所者だけではなく、施設の近くに暮らすお年寄りの方にも声を掛けました。
第一回目の将棋クラブには入所者9人、近所のお年寄り13人が集まったのです。
小さな会議室はAさんを中心に賑やかな笑い声で溢れました。
第一回ということもあり、最初の挨拶をAさんにやって頂きました。
Aさんは初めて見るような笑顔で「皆さん、楽しみましょう」と挨拶し、うっすらと涙していました。
2時間に渡って将棋が行われたのですが、Aさんはすごくいい顔をしていたのです。
将棋クラブが始まって以来、Aさんは穏やかな生活になり、夜間も朝まで静かに眠れるようになりました。
家族の方が久しぶりに面会に見えた時も笑顔で迎えられ「こんなに穏やかなお父さんを見たのは久しぶりです」と泣いていました。
入所者にも趣味、特技を生かしてあげることはとても大事なことなのだと改めて実感しました。
Aさんは数年前に亡くなられたのですが、ご家族の希望により施設で葬儀を行ったのですが、将棋クラブの方が多く訪れ、棺の中にはたくさんの駒が入れられました。
「またあっちで一緒に将棋やろうな」とみなさんがお別れされました。
地域と施設の交流
今でもAさんが作った将棋クラブは存続しています。
正直、スタッフの労力も大きなものです。
介護職だけではどうにもならず、看護師などの協力もありました。
しかし、施設で働く職員だけでは、限界があるのです。
そこで、地域の方を受け入れたのですが、それが大成功でした。
トラブルもありましたが、そこは人と人の関りということで、施設長も力になり地域と共存する事の第一歩になりました。
認知症高齢者の趣味や特技を見つけること以外にも地域との関りを持てるようになったことは、Aさんにはとても感謝しています。
最後になりますが、介護職を続けていくうえで切り離せないのが給料です。
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