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目次
高齢者の死亡原因
突然ですが、高齢者の死亡原因トップ3はなにかをご存知ですか?
平成27年度の時点では、1位がん、2位心疾患、3位肺炎となっています。
この中でも、がんと肺炎は例年トップ3に不動ランクインしていると言えるでしょう。
その中の肺炎について、今回はご説明したいと思います。
誤嚥性肺炎とは
私たち若い世代がかかる一般的な「肺炎」とは少し違い、高齢者がかかっているのは厳密には「誤嚥(ごえん)性肺炎」が多いです。
誤嚥とは食べ物、飲み物を飲み込むときに誤って気道に入ってしまうことで、いわゆるむせこみのことです。
飲み込む動作のことを専門的に嚥下(えんげ)と言います。
普通は飲み込み動作をした時に気道を塞いでくれる喉頭蓋(こうとうがい)という弁が機能することによってスムーズに食道へとものが通るのですが、高齢になるとこの弁の動きが悪くなってしまい、しっかり気道が閉じられないまま飲み込んでしまいます。
咳き込んでそれが吐き出せるのであればいいのですが、問題は食べ物と一緒に口の中の細菌が肺に入ってしまい、そこから重篤な感染症を引き起こしてしまうことです。
これが誤嚥性肺炎の原因となります。
また高齢になると咳き込む力も低下してしまう場合が多いので、単純に窒息などの原因にも繋がります。
誤嚥性肺炎対策
では、これらを予防するためにはどのような対策をするべきでしょうか。
実は、将来誤嚥を繰り返しそうな方は若いうちにその特徴が見られている場合があります。
食べるときに掻き込んで食べる、丸飲みする、よく噛まない、早食いの方はまず注意です。
人間は食べ物を口に入れる前に「この食べ物をこれから食べるんだ」と認識した時点で消化のメカニズムが始まります。
認識することで唾液の分泌を促し、それから口に入れて噛み食べ物の塊である食塊を形成します。
この食塊がしっかり出来ていないと、飲み込んだときにスムーズに食道を通らなくなってしまいます。
しっかりよく噛んで、食べ物の塊が口の中に出来ることを意識しながら食事しましょう。
ちなみに食べ物を口に入れるときに箸が横向きのままになっている人は、掻き込み癖がついているので要注意です。
箸を縦にして口の中に入れるように意識してみると、それだけでも食べるスピードが遅くなりますし、食べ物を認識しやすいので唾液の分泌が促されやすいです。
食事の姿勢
また食事の際の姿勢も大事です。
普段から背骨が曲がった状態でいると顎は上に上がります。
人口呼吸で気道確保するとき顎を上にあげませんか?つまり、それだけ気道が開いてしまうので、誤嚥のリスクが高くなります。
もうすでに高齢の方で背骨が曲がっている方も、なるべく顎を引いて飲み込むよう声かけをしてあげてください。
また、顎が上がったまま飲み込むという動作は単純に負担がかなりかかります。
食事介助に入られる場合は、かならず介助者も椅子に座るなどをして目線を相手に合わせて行ってください。
「みんなあなた達(介助者)が大好きなんです。だからあなた達が立ってると自然と顔を見るために顎をあげちゃうんです。」と、これはわたしが介護研修に行った時に講師から聞いた言葉です。
食事中以外でも大事なケアがあります。
口腔ケア
それは口腔ケア、いわゆる歯磨きです。
食べ物のカスを口の中に残さないことは、高齢者にとってとても重要なことになります。
毎食後に歯磨きは必ず行い、口ゆすぎはなるべく最低3回は行ってもらいましょう。
入れ歯を使用している場合も入れ歯についた食べカスをよく落とすのはもちろん、歯が全く無い状態でもうがいだけは行ってください。
また、口内専用の保湿ジェルを使用するのも細菌を増やさないために効果的です。
就寝時は基本的に入れ歯を外して洗浄液などに浸けておくことをオススメします。
実は誤嚥性肺炎は就寝時にも起こり得ることなのです。
眠っている間に増えた口の中の細菌が唾液と一緒に気道に入ってしまうことによって引き起こしてしまうためです。
余談ですが小さい入れ歯を眠っている間に飲み込んだという事例もあるそうなので、入れ歯は外して就寝し、翌朝うがいをしたあと清潔になった入れ歯を使って食事をしましょう。
トロミ粉の使用
むせこみが常習化してしまった場合、よく用いられるのがトロミ粉です。
ですが、ここでよく介助者の勘違いがあることがあります。
なにを食べても飲んでもむせこみが強い方などに、「この人トロミ入れて飲むから」と言われるがままにトロミを付けていませんか?
トロミの強度は、しっかりとその人に合った固さが決められています。
なので、むやみやたらにトロミを強くすればむせ込まないというわけではなく、場合によってはトロミ強度が強すぎるためにむせたり、最悪窒息する場合もあるわけです。
トロミを強くする事により、嚥下後の誤嚥もあります。
その人にあったトロミの固さは、言語聴覚士などの専門職に確認して決めるのが良いでしょう。
また、トロミ粉は意外とダマにならないように混ぜるのが難しいです。
粉を入れてから混ぜるのではほぼ確実に間に合わないので、わたしはひたすら片手でかき混ぜながら片手でサラサラと振りかけるようにして入れています。
また、固まるまでの時間はカロリーの高さに比例するので、ジュースや乳製品などがなかなか固まりづらいからといってむやみに継ぎ足さないようにしてください。
ですが、やはりトロミ粉は無い方がいいですね。
一度トロミ粉入りの飲み物を飲んでみれば分かりますが、どんなに「味を変えない!」とパッケージに書いてあっても正直マズくなります。
出来る限り嚥下機能の維持に努め、最後までおいしく安全に食べていただきたいものです。
日本人の寿命は年々伸びているようですが、それと「健康寿命」はまた別です。
食事の度にむせこみ、肺炎を繰り返し、いつしか口からの食事が出来なくなってしまう…そうなってくると健康寿命ではなくなります。
最後まで口からおいしく安全にご飯を食べられ、少しでも誤嚥性肺炎による死亡者が少なくなってくれるように正しい知識を身につけていきましょう。
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