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介護士の役割は、昔と比較するとずいぶんと変化してきています。
身体的な介助を必要とする高齢者の介護から認知症を患った高齢者に対しての介護に移行しています。
施設や在宅において認知症患者の数は、増え続けています。
認知症高齢者を取り巻く家族は、手に負えなくなり、施設入所を希望しますが、保育園の待機児童と同じく空き待ちを余儀なくされています。
どのようにこの状況を回避するか、日中はデイサービスを利用し、時にはショートステイを利用します。
そしてなるべく、家にいる時間を少なくし介護負担を軽減しようとしています。
ショートステイの役割は、本来介護者の社会的事情や、レスパイトですが、現状は、施設入所できるまでのつなぎ機関、高齢者を自宅に置かないようにするための場所に変貌してきています。
ですから、ショートステイのサービスを行っている施設は、老人保健施設や特別養護老人ホームよりも認知症の重度の高齢者が多く利用しています。
家族の都合で入所させられた認知症高齢者は、帰宅願望が強く、窓にむかって叫ぶもの出入り口の扉を杖でたたくもの、食事、飲水を一切拒否するものさまざまな拒否反応をあらわします。
在宅で生活している認知症患者で、精神科を受診している人は少なく、きちんとした診断に基づく投薬がなされていない場合が多くあります。
介護を任された現場の職員は、精神科で手当てを受けていない認知症高齢者を介護しなければならないのです。
夜間、荷物を持って徘徊している利用者に付き添い一晩中一緒に徘徊し、その辺にあるものを食べてしまう利用者を見張り、便をいじる利用者に注意を払わなければならないのです。
ただ身体の介助をすれば良いという状況ではなくなっています。
もっと認知症の行動心理を知り、どう対応すべきかを学ばなければなりません。
認知症は、脳の病気です。
精神科医の介入が第一歩だと考えます。
そのうえで、どのように介護するかを決めることができるのではないかと思います。
そうしないと、身体拘束や虐待が増加してしまうことになりかねません。
また、認知症がなくとも家庭介護者の事情で長期にショートステイを利用される方もいます。
高齢者本人は、自宅で生活したくても介護力の不足から月に何度も利用し、ほとんど家にいない生活です。
家に帰る日を指折り数え、時間をやり過ごしています。
具合が悪くここにはいられないとヒステリックになる高齢者、迎えに来てと叫ぶ高齢者自分が家の人に何か悪いことをしてここに連れてこられたと悲嘆にくれる高齢者。
それらをすべて、受け止めなければならない介護士は、悲鳴をあげています。
どんな状況でも介護士におまかせな状態なのです。
尊厳をまもり、安全を保障するには、介護士の精神が健全でなければなしえません。
今では、介護士の仕事は、汚くて体力を使う仕事だけではなくなっています。
認知症によって意思の疎通が不可能になった利用者の安全と尊厳を守ることも要求されています。
それは、とてつもないストレスです。
人手不足によりひとり一人に与えられる任務は、はかり知れません。
一つの施設で何年も何十年も働く介護士は、稀です。
少しでもストレスの少ない環境を求めて、離職する介護士は、たくさんいます。
しかし新しい介護現場でも結局、同じような状態で仕事をするようになるのです。
真剣に仕事をしている介護士であればあるほど、肉体的、精神的疲労が蓄積されていきます。
吐き出す場所はどこにもないのです。
けれど、施設での日常は、切れ間なく続きます。
時間は止まってくれません。
そして次々と新しい利用者が現れるのです。
介護者にも高齢者にも良い介護とは、どんなものでしょう?
高齢者のほとんどが死ぬまで自分の家で過ごしたいと思っています。
リロケーションダメージを与えないためにも、自宅での生活を継続することは、もっとも大事と考えます。
認知症があったとしても、住み慣れた家での生活であれば精神的にも安定するに違いありません。
今よりも訪問介護の充実はかることは、在宅介護をしている家庭にとって最も良いサービスになるのではないでしょうか?
生活上の不自由さは、訪問介護士による介助で安定に導き、楽しみのためにデイサービスを利用し、家族のレスパイトでショートステイを利用する。
それぞれのサービスが基本を思い出し、実践する。
それが、みながストレスを抱えたこの状況を抜け出すための最良の方法だと思います。
そして介護する方もされる方も、精神的な衛生が保たれると思います。
施設の入所待ちの高齢者がたくさんいるからと言って、どんどん施設を建設するのではなく今ある、サービスをそれぞれ充実することによって、もっと違った状況を生み出すのではないかと考えます。
そして、高齢者とその家族が平穏な日常を過ごせることが、介護士にとっても仕事にやりがいを感じ、今までは、必要でなかった認知症に対する知識の蓄積、資質向上に前向きになれると考えます。
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