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目次
<65歳以上の高齢者のみの世帯>
日本はまもなく超高齢化社会を迎えます。
2025年には、75歳以上の高齢者が約3500万人、全人口の30%近くが高齢者となります。
平成28年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者のみの世帯は全世帯の26.5%です。
そして、65歳以上の要介護となっている高齢者がいる世帯の54.7%が、主な介護者も65歳以上の高齢者です。
このように、高齢者が高齢者を介護しているケースを「老老介護(ろうろうかいご)」と呼んでいます。
さらに、要介護者も介護している人も76歳以上と言う世帯も約30%でした。
介護が必要となった理由のうち、約18%が認知症です。次いで多いのが脳血管疾患で、16.6%となっていました。要介護1では、認知症が原因のケースが24.8%と4人に1人です。
<「ろうろうかいご」と「にんにんかいご」>
こうなると、老老介護の世帯のうち、介護される人もする人も認知症であるというケースも珍しくないのです。
これを「認認介護(にんにんかいご)」と呼んでいます。
80歳~84歳の人の認知症出現率は、およそ22%というデータもあります。
この数字を当てはめると、80歳以上の老夫婦の11組に1組が、認認介護だと計算できるのです。
認知症の予備群だと言われているMCIの状態も含めると、65歳以上の6.3組に1組が認認介護になってしまいます。
老老介護や認認介護には多くの問題があります。
介護は若い人でも体力が必要で、疲労も激しく忍耐力も要求されるということは、容易に想像できるでしょう。
若い人でも大変で逃げ出したくなることを高齢者が行うと、当然、無理が生じます。
その結果、ついつい怒鳴ってしまったり、叩いてしまったり、介護を投げ出して放置してしまうということも多々あるのです。
ひどい場合は、介護虐待と呼ばれる状態になってしまいます。
中には、介護疲れから放置や虐待や殺人と言ったケースも実際に報告されています。これらは決して珍しいことでは、ありません。
認認介護の場合も、多くの問題が生じます。
服薬管理ができずに、必要以上にたくさんの薬を飲ませてしまったり、逆に薬を全く飲んでいなかったということも珍しくありません。
食事もまともに作ることができずに、お弁当や缶詰ばかり食べていたというケースもあります。
また、火の始末ができずに火事を起こしてしまったという例もあるのです。
中には、意識を失って倒れている夫の横でボーッと見つめているだけだったというケースや、夫が倒れたのにどうしていいのか分からずにただ、泣いているだけだったという事例もあります。
<地域力が低い都会>
幸いにして、郵便局の人が泣いているお婆さんに気が付いて窓の外から声をかけて救助が出来たケースや、近所の人が高齢者だけのご夫婦だからと普段から気にかけてくれていて、様子を見に行ったので気が付いて救急搬送できたということもあります。
テレビでドラマ『Dr.コトー』などを見ていると、町に住んでいる人は家族も同然という感じです。
誰かが体調を壊したら、町中の人が心配します。
もしも高齢者だけで暮らしている世帯があれば、誰かが1日に1回は声をかけるでしょう。
最近元気がなさそうだ、最近痩せてきたみたいだ、などの情報はすぐに町のかかりつけ医に報告されるでしょう。
しかし、隣は何をする人ぞという状況の都会では、隣に住んでいる人が風邪で寝込んでいても誰も気が付きません。
週間も10日も入院していて家を留守にしていても、誰もそんなことは知りません。
賃貸マンションの1Kやワンルームの部屋に一人で住んでいる高齢者の中には、「このマンションで、平日の昼間も部屋にいるのは、私くらいかもしれないね」ということも少なくないのです。
<老老介護は病院でも>
地域力が低い都会では近所の人には頼れないので、老人病院のようなところに高齢の母親や父親を預けたり、介護施設に入居させたりします。
しかし、入院患者の大半が認知症の老人のような病院では、介護スタッフも高齢者ばかりだというケースもあるのです。
他の施設や病院では受け入れてくれない患者さんもOKだという病院が、私の市内にはあります。
しかし、この病院の看護師の平均年齢は70歳を超えています。
病院の前には常に「看護師募集中。年齢不問」の大きな看板があげられているのです。
この病院で働いている医師も、9割が70歳以上です。どんな患者さんでも受け入れてくれる代わりに、身体拘束もあります。
入院する前の医師の診察の際に「預ける所がなくて困っておられるのであれば、こちらでお預かりします。しかし、入院すると認知機能は確実に落ちますよ。そして筋力も、確実に低下します。ベットからの転落などの事故を防止するために、身体拘束をすることもあります。それでもいいですか」と訊かれます。
最初にこのように訊いてくれるのであれば、まだマシな方かもしれません。
「あそこは姥捨て山病院だからねえ」などと噂されてはいますが、このような病院でも、ないよりはずっとマシなのかもしれないな、と思います。このような姥捨て山病院は近隣の市にも何か所かありますが、若いスタッフは来てくれません。腰が曲がったお婆さんや、顔中シワだらけのお婆さんのナースばかりです。
低料金で評判もそこそこだという施設はなかなか入れないし、特養(特別養護老人ホーム)に入れるのは宝くじで1等が当たるよりも難しいかもしれない、と言われています。
大金持ちは豪華な老人ホームで暮らすことができます。
そうではない人は、このようなところで我慢するしかない、と言うのが現状です。雨風や寒さや暑さが凌げて、3度の食事がきちんと出ているのなら、何とか合格ということになるのでしょうか。
老後の生活には2000万円が必要だと言われていますが、行き届いた豪華で綺麗な老人ホームに入居するためには、億単位のお金が必要です。
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