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認知症と聞けば、アルツハイマーと言う単語が思い浮かぶでしょう。
認知症=アルツハイマーと思っている人すらいます。
しかし、認知症=アルツハイマーではないのです。
認知症の多くはアルツハイマー型認知症ですが、アルツハイマー以外にも血管性認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型などもあります。
目次
<前頭側頭型認知症を知っていますか?>
前頭側頭型認知症はピック病とも呼ばれますが、アルツハイマー型とはかなり違った症状となります。
アルツハイマーでは後頭部能力脳が侵されて萎縮するのですが、前頭側頭型認知症の場合は、理性や衝動性を司っている頭の前の部分(前頭)や横の部分(側頭)が萎縮するのです。
そのため、アルツハイマー型認知症とはかなり違った症状となります。
「まさか認知症とは思わなかった」と言うケースも多いのです。
前頭側頭型認知症では、着替えもできるし道に迷う事もありません。
記憶力も保たれています。
でも、どこかおかしい、どこか違和感を覚えていたと語る人が多いです。
<前頭側頭型認知症の症状>
前頭側頭型認知症では、集中力が続かなくて飽きっぽくなったり、意欲ややる気が失われることが多いです。
また、迷子にはならないのですが、外出したいという衝動を抑えられずに、夜中であろうと大雨が降っていようと家を飛び出すことがあります。
こだわりが強くなって、同じ行動を繰り返すこともよく見られる症状の一つです。
その行動を阻止されると、激しく怒り出します。
周囲の出来事に無関心になることもあるので、ご家族は「何だか人が変わったみたいだなあ」とか「性格が悪くなったなあ」などと思う事が多いです。
<理性が失われる、衝動性が抑えられないことが特徴です>
これらに加えて、前頭側頭型認知症では理性が失われたり衝動を抑えられなくなる、という症状が特徴的です。
道徳概念が欠如するので、交通ルールを守らなかったり割り込み乗車をしたり、コンビニやスーパーで列に並ばずに商品を購入しようとすることもよく見られます。
その他には、同じ食べ物にこだわることが多くなり、特に甘い物へのこだわりが強い傾向があります。
常同行動と言って、同じ行動や同じ言葉を繰り返したり、毎日同じ時間になると同じ行動をとることもあります。
<物忘れのない認知症>
さらに、物忘れは少ないというのも大きな特徴です。
認知症=物忘れと言う法方程式が出来ている人も多いと思いますが、前頭側頭型認知症では物忘れは目立ちません。
物忘れに対する苦労はないものの、理性や衝動性が抑えられないという症状が一番、介護者を悩ませるでしょう。
<万引きと認知症>
認知症の高齢者と万引きとの関連性も、示唆されています。
警視庁の発表によると、2017年に万引きで摘発された人は6万6154人ですが、このうち65歳以上の高齢者は2万6106人です。
14~19歳の未成年者は7662人なので、未成年者の3倍以上となっているのです。
この背景には、前頭側頭型認知症も影響しているのではないかと考えられています。
衝動性が抑えられないために万引きをしてしまうことがあるので、介護者にとっては非常につらいことでしょう。どうしてそんなことをしたのかと訊くと、「ダメだとは知らなかった」「ダメだという事を忘れていた」などと言うことが多いです。
万引きをする高齢者を抱えている場合、昔なら個人商店の旦那さんや奥様に事情を話して予めお金を預けておく、などと言った対応もできたでしょう。
今のスーパーやコンビニの場合はこのような対応も難しく、万引きは最も介護者が頭を抱えるようです。
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<早期に気づくために>
早期発見のためには、「物忘れがほとんどない認知症もある」という事を覚えておきましょう。
そして、前頭側頭型認知症は「理性や衝動性が抑えられなくなることが特徴だ」という事も知っておくことが重要です。
欲しい物は欲しい、早く電車に乗りたいのだから仕方がない、という気持ちになるようです。
<前頭側頭型認知症のケアのポイント>
では、前頭側頭型認知症の高齢者にはどのようにケアをするのが適切なのでしょうか。
まずは、自然体で接するようにすることが大切です。
怖がったり緊張したりしないで、出来るだけ自然に接してください。
前頭側頭型認知症の人は、常同行動のためにルーチンで作業をすることは得意です。
この症状の特徴を生かして、この時間になったらこの作業をやってもらう「ルーチン化療法」を行うと良いでしょう。
疲れていても衝動を抑えられずに、歩き回ることがあります。
転倒したり疲労骨折の原因になりやすいので、歩き回ることを放置しないでください。
適度に休憩が取れるように、工夫する必要があります。
過去に携わっていた仕事や趣味などから、ケアのヒントが見つかることも多いです。
得意なことを活かせるように、昔話などを語ってもらうのも良い方法です。
また、周囲の音や声に敏感に反応することもあるので、できるだけ静かで集中できる環境を整えましょう。
物忘れは少なく記憶力は保たれていることが多いのが、前頭側頭型認知症の特徴の一つだと言えます。
そのため、嫌な記憶は忘れずに残ってしまいます。
嫌な思いをさせるとその後の関係を悪化させてしまうこともあるので、無理強いや強制的な態度にならないように注意が必要です。
同じ料理や同じ食べ物にこだわることが多く、甘い物や濃い味付けを好む傾向もあります。
過食になることもあるので、食習慣や食行動の変化を見逃さないようにしましょう。
認知症ケアについて、介護職なら認知症介護実践者研修の受講をお勧めしています。
認知症介護実践者研修についてまとめた記事があるので、認知症ケアの参考にしてください。
<まとめ>
物忘れがあるのが認知症だと思いがちですが、前頭側頭型認知症では物忘れは少ないです。
衝動性を抑えられなかったり理性が欠如するので、性格が悪くなって我儘になったという感じです。
衝動性を抑えられずに万引きしてしまうこともあるので、その点に最も注意が必要でしょう。
我儘になっただけではなく、常同行動が見られたり食行動の変化などが見られた場合は、まずはかかりつけ医に相談するなどして放置しないようにすることが重要です。
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