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目次
ユマニチュードとの出会い
いつも呼びかけてもあまり反応してくれない認知症のおばあちゃん。
あの手この手で働きかけるのですが全然心を開いてくれません。
お部屋に伺うのが毎日しんどいなぁと思っていたとき、私はあるテレビ番組を見て衝撃を受けました。
それは、あるフランス人が日本の介護施設を訪れて、普段から介護ケアに拒否的で車椅子生活をしていた認知症のおばあちゃんと数分通訳を返して会話をしました。
するとそのおばあちゃんは笑顔になりゆっくりと、そのフランス人に支えられ歩き出したのです。
それが「ユマニチュード」との出会いでした。
ユマニチュードとは
ユマニチュードは体育学を専攻するイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの36年にわたる経験の中から創出した、知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションに基づくケア技法である。
テレビに写っていた人はそのイブ・ジネストさんだったのです。
イブ・ジネストさんは認知症のおばあちゃんの目を優しく見て、その大きな手をおばあちゃんの膝に置き落ち着いた声でゆっくり声をかけました。
すると、おばあちゃんはゆっくり立ち上がり、彼に支えられ歩き出したのです。
私は衝撃を受けました。
それから自分でも色々と調べ試行錯誤しました。
ユマニチュードの基本
ユマニチュードで重要なのは「あなたは大切な存在である」と伝え続けることです。
介護者がどんなに優しい人でもその思いが介助者に伝わななければ意味がありません。
その思いを伝えるための具体的な技術が「ユマニチュード」です。
ユマニチュードには4つの柱があります。①見る②話す③触れる④立位援助です。
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ケアの4つの基本
①見る
目は口ほどに物を言うということわざがあるように、見方一つで相手にポジティブなイメージとネガティブなイメージを与えます。
相手を上から見下ろすのではなく、正面から相手の目線に合わせて見ることでポジティブなメッセージを与えます。
日本人は相手の目を見ることにためらいがあるように感じますが、正面からアイコンタクトを取ると覚醒度や注意力が高まるとの報告があるようです。
相手にあった最適な距離を探しながら相手の目を見ることが大切です。
②話す
低めの落ち着いた声で、前向きな言葉で声を掛けるのが大切だと言われています。
その時に、途切れなく話すことが大切です。
たとえ、認知機能が低下して言語によるコミュニケーションが難しい方でも相手に声をかけましょう。
返事がないからといって声をかけなくなれば、それは相手にとって存在を否定するネガティブなメッセージとして伝わってしまいます。
③触れる
普段の介護ケアの中でも日常的に利用者の方に触れる機会はたくさんあります。
しかし、その触れ方一つで相手にポジティブなメッセージを与えたりその逆もあります。
なるべく指先ではなく手のひらで優しく触れる。
そして、できるだけ下から支えるように触れるのがポイントです。
また、人の大脳の感覚野と呼ばれる場所は、手や顔からの情報を受け取る面積が腕や脚と比べると多くなっています。
その為、大脳へ伝達される情報が少ない体幹や腕・脚から触れることで相手を驚かせずにコミュニケーションが可能です。
④立位援助
立ったり歩いたりすることは、単に移動するだけでなく空間認知機能を獲得するうえでも重要だと言われています。
ただ横になっていると目にするのは天井か壁だけです。
しっかり起きて、他者とコミュニケーションを取ることは、利用者の空間認知機能だけでなく尊厳を保つうえで重要です。
ユマニチュードの実践
最初にお話したいつも反応の少ないおばあちゃん。
私は普段の彼女との関わり方を振り返りました。
すると、いつも目線は上からで声は優しく声をかけているつもりでも反応が少ないからと二言三言形式的な声かけしかしていませんでした。
もちろん、触り方も優しくなかったと思います。
そう思うと、自分の関わりを反省するとともに彼女に申し訳なかったなぁと思うようになりました。
その日から、ユマニチュードの4つの基本を心がけて関わりを持つようにしました。
すぐには効果は見れませんでしたが、一週間程経ったある日、「今日は天気がいいですね。こんな日は外に散歩に行きたくなっちゃいますね。」と返答がないことを覚悟して笑顔でゆっくりと声を掛けると、「そうね。」と言って微笑んでくれたのです。
その日を境に、少しづつ笑顔や返答が増え今では簡単な会話も可能となりご家族も大変喜んでくれました。
最後に
ユマニチュードは一つのケア技法です。
最も大切なのは「あなたは大切な存在である」と伝え続けることです。
冒頭にもお話しましたが、いくら私たちが相手を大切に思っていてもそれが伝わらなければ意味がありません。
そのための、一つの有効なツールとしてユマニチュードはとても参考になる技法だと思います。
相手を変えるのはとても難しいですが、自分を変えることはそれよりは簡単です。
これからも、認知症持った人やそうでない人にも心のこもった暖かいケアが出来るようユマニチュードを実践してきたいと思います。
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