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超高齢化社会に突入している日本では、今後、慢性疾患患者や生活習慣病を抱えながら生活していく人が増えていきます。
また、単身世帯が増えて高齢者の身の世帯も増加していくでしょう。
「孤独死」という言葉がありますが、20年後の2040年には日本全国でおよそ48万人もの高齢者が「看取り難民」になると言われています。
目次
<看取り(ターミナルケア)とは?>
看取り(ターミナルケア)とは、どういう意味なのでしょうか?
・近い将来、死が訪れると思われる人に対して、そばに寄り添って身体的な苦痛や精神的な苦痛を緩和・軽減すること。
・人生の最期まで、尊厳のある生活となるように支援を行うこと。
・介護と看護の一連の行為すべてを含むものである
・極力ストレスがなく、その人らしい最期を迎えられるように介護するプロセスである。
などと書かれています。
要介護度を改善させたり維持したりするためのものでは、ありません。
介護施設では、看取り(ターミナルケア)を行う事で加算がもらえる為、最近は積極的に取り入れる施設も増えています。
<大切なことは何か?>
看取りで大切なことは、どのようなことでしょうか?
最後の時に、そばにいることだけが看取りではありません。
そばにいて寄り添うことが許される信頼関係を築く過程が、重要です。
そして、人として尊厳のある生き方を支える、ということも忘れてはいけません。
しかし、言うは易く行うは難し、だとも言えるでしょう。
どのように寄り添えばいいのかと言った答えは、一つではないし、答えなどどこにもないのかもしれません。
<看取り介護の際のチェック項目>
◆痛みなどの苦痛はどうか?
痛みがある時は、看護師や医師とも連携を取ることが重要です。
痛み止めにはどのような種類のものがあるのか、そしてどのような副作用があるのかなども、おおかまでいいので知っておくと良いでしょう。
ガン末期の鎮痛薬には、オピオイドが使われることが多いです。
オピオイドについても自分なりに調べておきたいものです。
オキシコドはモルヒネの1.5倍、フェンタニルは50倍以上の鎮痛作用があると言われています。
◆睡眠
昼夜の逆転はないか?不眠はないか?などのチェックが重要です。
◆体を動かすことが困難な時
寝返りを打つことも困難になってきたら、マットレスの変更や枕やクッションの変更や追加を考えましょう。
褥瘡対策や体位交換も重要になってきます。
体調に応じて、ADLの支援を行いましょう。
◆食事量や、水分量のチェック
栄養士とも連携して、食べられる状態であれば、希望に沿った好きなものを提供する、ご家族に持って来てもらう、なども考えると良いでしょう。
口腔ケアで、口腔内が乾燥するのを防ぐのも大切です。
◆不穏行動
大声を出したり暴れたるなどの不穏行動が目立ってくることも、あります。
安全の確保に努めましょう。
せん妄が出て来ることも、あります。
原因が分かれば落ち着くことが多いので、便秘はしていないか、痛みはないか、眠れているかなど、五感を使ってチェックすることが原因解明に繋がります。
◆聴覚は最後まで・・・
視覚は低下してきますが、聴覚は最後まで保たれている傾向があります。眠っていると思っていても聞こえていることもあるので、不安になるようなことを本人の前で言わないことが大切です。
また、ご家族にもそのことを説明して、「きっと、聞こえているはずです」と、話しかけることを促すと良いでしょう。
<死の直前に見られる徴候>
■下顎呼吸
顎をあげて呼吸するようになってきます。枕を外したり、肩に枕を入れたりするのも一方法です。
室内の加湿や口腔ケアも大切です。
■喘鳴が出現する
そばで見聞きしていると苦しそうに見えますが、本人は苦しさは感じていないと言われています。
ご家族には、イビキのようなもので本人は苦痛は感じていないはずだと説明をすると良いでしょう。
場合によっては吸引も必要です。
■尿量が減ってくる
■冷感やチアノーゼの出現
電気毛布や温罨法、マッサージなどで対応することも多いです。
低温火傷に気を付けましょう。
■睡眠時間が長くなる
次第に寝ている時間が長くなってきます。静かな環境を整えることを心がけてください。
寝ているからと放ったらかしにするのはNGです。褥瘡防止のために、体位交換が必要です。
鎮痛のためにオピオイド(モルヒネやオキシコドやフェンタニルなど)を使っている場合は、副作用で眠気があります。
ついでに、オピオイドの3大副作用は、吐き気・眠気・便秘です。
■強い倦怠感
リラクゼーションを図り、安楽な体位にしましょう。
緩和病棟にボランティアの人が来て、アロマオイルでリフレクソロジー(足裏のマッサージ)を行っている医療機関もあります。
■尿や便の失禁
その後、呼吸停止、心拍停止、同行の散大・対光反射の消失を医師がチェックして、死亡確認を行います。
<死の直前の介護>
①小さなケアを積み重ねていこう
②五感をフルに使って、小さなサインを見逃さないように。
③家族への配慮も大切です。家族が交代で休めるように、気配りをしましょう。
④温かい声かけも大切です。たとえ意識がなくても、聴覚は最後の最後まで保たれています。
私も、母が亡くなった時や父が亡くなった時、看護師さんが「交代で休むように心がけてくださいね」などと声をかけてくださいました。
また院内の食堂が日曜日でお休みだったので困っていたら、「食堂がお休みだけど、お食事は済みましたか?この辺はファミレスやカフェなどの便利なところがないから、不便ですよね」と、近くのコンビニの場所をメモに地図を書いて教えてくれました。
その他、バスの時刻表を見せてくれたり、●●駅からだったらレンタル自転車があるから、自転車なら病院まで10分もかからないと思う、という情報を教えてくれたりと、いろいろな気配りをしてもらえました。
こういう些細な事でも、家族にとってはとても有難くて、ホッと気持ちが休まりました。
<死亡確認後の注意点>
遺体は時間が経つにつれて不可逆的な変化が起こるので、その前に清拭や着替えやエンジェルケアなどを行うことが重要です。
エンジェルケアはご家族にも声をかけて、ご家族が望むようであれば一緒に行っても良いと思います。
私も母が亡くなったときは、看護師さんが「一緒に(身体を拭いたりメイクなどのエンジェルケアを)されますか?」と声をかけてくださいました。
私はずっと、母にエンジェルケアをしてあげたいと思っていました。
看護師さんにそのことを告げて、お願いしようかな?と思っていたので、看護師さんの方から声をかけてくださったので、有難かったです。
母の身体を拭いて、私が持っていた化粧ポーチから口紅を取り出して「オソロの口紅にしようね」と、私が塗っていた口紅を塗り、私が使っていたアイブロウペンシルで眉毛を書きました。
「お母さん、この口紅の色、似合ってるよ。私が使っている色が似合うだなんて、お母さんはやっぱりまだまだ若いね」などと声をかけながら、メイクを施しました。
その時の口紅は、その後は使わずに今もまだ、そっと引き出しの中に置いています。
3月3日は母の命日です。
あれから、6年が経ちましたが、今でも母にお化粧を施した時のことは、はっきりと覚えています。
寒い日の真夜中の出来事でした。
看取りは、そばにいて寄り添うことが許される関係を築く過程を大切に、人としての尊厳のある生き方を支える・・・はたして自分にそれができていたかどうか、自信はありません。
今なら、もう少しマシな寄り添い方ができたのにな、と思います。
母が「痛い」と言っていたのを「動かさないからじゃないの?」などと言っていました。
動かさないから痛いんじゃなくて、痛いから動かせなかったのだろうな、と今は思えます。
痛みに共感できていませんでした。受け止めていなかったな、と思います。
痛みやだるさの裏側には、膠原病などの発見しにくい病気が隠れていたのかもしれません。
消化器内科と一般内科しか受診しなかったけど、膠原病科や総合診療科を受診していたら、もしかしたら痛みや倦怠感の原因が分かったかもなあ・・・と時々思えてくるのです。
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