身体拘束

身体拘束からの開放と認知症高齢者のQOL向上を目指して


高齢者のQOL

高齢者の割合が急増して久しいなか、高齢者のQOLをどうやって高めるのか、ということは大きな課題として有り続けています。

また逆にいかにしてQOLを低下させないかということも同時に考えられています。

人類共通の課題ですが、とりわけ高齢者の割合が高い日本においては急務といってもよいでしょう。

そんな中私が述べたいのは身体拘束についてです。

身体拘束とは名前のとおり、拘束具を使用して体を固定することをいい、決して高齢者だけに行われるものではありません。

薬物中毒により錯乱をきたしているものやうつ病で自殺を企てる者等に対しても身体拘束は行われます。

高齢者の場合は、認知症への対策として行われることがあります。

介護保険と身体拘束

平成30年、介護と医療の保険同時改定によって、施設における身体拘束に対する規定がより重いものになったということは記憶に新しいところです。

そこで各施設は自分の所内において行われる身体拘束の実態を把握し、解除に向けて動き出す必要がより強くなりました。

しかし身体拘束に関して言えば、行政の思いと現場の思いとで相違する部分もありことを忘れてはなりません。

行政というより現場外と言ったほうが正確かもしれません。

つまり身体拘束と聞いてどう思うか、ということです。

一般に身体拘束は好ましいものではなく、解除して当然と思われるでしょう。

それは決して間違いではありませんし、現場の者も気持ちは同じです。

拘束せずに済むのならばそれほど良いことはありません。

しかし、病状がそれを許さないのです。

身体拘束

身体拘束解除に向けて

認知症が進行した高齢者の中には口から食事ができず胃瘻や鼻腔チューブより栄養を補給する方がいます。

また自分が置かれている状況や時間感覚が正常に機能しない高齢者もいます。

すると何が起こるか。

経管栄養の人であれば自分でチューブを抜いてしまうこともあります。

また夜間に徘徊する人もいます。

これは極めて危険であり、本人の生命の危機さえあります。

結果専門家、主には医師や現場責任者ですが、より身体拘束の指示が出ることがあるのです。

入居さている人の生命の確保は介護施設や病院問わず第一にしなければならないのですからやむを得ないと言えるかもしれません。

身体拘束によって生命の危機は脱したとしても先に述べたQOLは落ちてしまいます。

想像してみてください。

人に自分の自由が奪われているのです。

それで快適に過ごせる人がいるはずがありません。

このような理由から身体拘束に対して施設の減額がより強化されたのです。

ならお金さえなんとかなれば入居している人を縛り付けても良いのかというと当然そんなはずはありません。

どの施設も入居者には快適に過ごしてもらいたいという想いを持っています。

そして各施設でいろいろな取り組みが行われるようになりました。

曖昧な定義

そもそも身体拘束とは入居されている人の自由を制限するというかなり曖昧な定義がされています。

例えばセンサーマットです。

これは上に乗ると音が鳴り、入居者が勝手にベッドから立ち上がるのを防ぐ目的で使用されます。

センサーマットについては身体拘束と定義している施設もあれば、そうでない施設もあります。

ここで私が述べたいのは誤魔化せば良いということではありません。

例えばセンサーマットでも使用時間を可能な限り短くすることで入居者の自由を確保できます。

また経管栄養の人に使用されるミトン、これは五指の動きを封じてしまうため、この着用は身体拘束となります。

しかし、ミトンをしなければ入居者は自分で管を抜いてしまい、誤嚥性肺炎や腹膜炎で死んでしまうかもしれません。

このような例を聞いたことがあります。

ある施設では軍手を着用してもらい、軍手の内側に柔らかいボールを装着することで管を握らないように工夫しているのです。

見ようによってはこれも身体拘束だと思われるかもしれませんが、五指の動きが完全に封殺されるわけではないので、ミトンに比べるとその差は歴然です。

こうしたちょっとした工夫がQOLの向上につながるのです。

その例を聞いた施設ではこうしたちょっとした工夫をコツコツ積み重ね、最終的に身体拘束ゼロを実現しました。

高齢者のQOL

おわりに

人は誰しも年をとります。

また思わぬ事故により若くして要介助者になる可能性も十分あります。

それは他人事ではなく自分のこととして考えてみることが大切なのではないでしょうか。

いつか自分の、それも当たり前のように続くと思っていた自由が、唐突に他人によって奪われるかもしれないのです。

個々のひとが身体拘束を自分の問題であると考えることが将来的により多くの人のQOL改善につながります。

なにも大きな改革をする必要はありません。

ほんの少し、自分だったらこうしてほしいな、という視点を、普段自分が携わる現場の中にもつことで、自分がこれから関わっていく人の自由を確保して、そしてQOLを高めて行く結果となるのです。

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