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目次
日本の現状
日本の平均寿命は伸び続け、今や女性87歳、男性81歳と世界1位の長寿国となりました。
一方、健康でいられる健康寿命は女性74歳、男性72歳であり、平均約10年もの間、誰かの支援を受けながら生活する必要がある状況です。
加えて日本は急激な少子高齢化社会であり、2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、医療、介護のニーズは増大、人的資源も財源もひっ迫していくことが予測されています。
介護が必要となった原因1位である認知症の有病率は65歳以上の5人に1人、85歳以上では55%になるともいわれており、将来誰がなってもおかしくない症状といえます。
よって今後、認知症高齢者をいかに社会で支えていくことができるかが大きな社会問題の一つとなっています。
認知症とは
認知症とは、脳の変性疾患や脳血管障害によって、記憶や思考などの認知機能の低下が起こり、6カ月以上にわたって、日常生活に支障をきたしている状態です。
すなわち、認知機能障害があるだけでは認知症とは言えず、「生活に支障をきたしている」状態となることで認知症と診断されることとなります。
なぜ認知症は初期の対応が大切か
認知症は進行していく疾患です。はじめのうちは少ない症状であっても、適切な対応が取られないと進行が早くなり、ご本人も混乱し、BPSDといわれる暴言や暴力、徘徊、不安、焦燥感などの介護が大変となる状況につながってしまう可能性があります。
進行を少しでも緩やかにするために、ご本人が過度の不安や混乱をしなくて済むように、ご家族が安心して過ごせるように、早期治療、対応を行うことが大切です。
そのためには、認知症を早期に発見できることが必要となります。
認知症の初期症状
*物事に関心を持たなくなった
興味の幅が狭くなり、新しいことに興味を持たず、取り組まなくなったり、世の中のニュースに関心がなくなったりすることがあります。
*いつもしている習慣をしなくなった
毎朝新聞を取りに行く、朝刊を読む、近所を散歩する、炊飯器のスイッチを入れる、風呂掃除をするなど、これまで行ってきた習慣をしなくなることがあります。
*お風呂に入る頻度が減った、入りたがらなくなった
何事も面倒になることがあります。
特に、お風呂に入りたがらなくなったり、お風呂には入っても頭を洗っていなかったり体を洗っていなかったりすることがあります。
*料理をしなくなった
料理は同時に複数の物事を進めていく必要があり、高い脳機能を必要とします。
好きだった料理をしなくなったり、手の込んだ料理をしなくなり簡単な料理しか作らなくなったりすることがあります。
*家電製品を使わなくなった
今の電化製品は高機能で複雑です。
物事の理解が難しくなると、使用方法がわからなくなり、使用しなくなることがあります。
*口数が減った
初期の認知症には抑うつ症状を伴うことがあります。
認知症は本人は分からないということはなく、「何かがおかしい」、「こんなこともわからなくなってしまった」と不安になっていることもあります。
できない自分を隠すために、「大丈夫」「うっかり勘違いしただけ」などと取り繕う言葉が聞かれることもあります。
*洋服を着込むようになった
歳を重ねると感覚機能が低下し、暑さや寒さを感じにくくなります。
特に、季節にそぐわない服装をしたり、下着や上着を何枚も重ね着するようになることがあります。
汗をかいていても厚着をしたままでいることもあります。
*においがわからなくなった
脳には、認知症の中核症状である記憶を司る領域の近くに、嗅覚を司る領域があります。
最近では認知症の初期に嗅覚が低下することが指摘されています。
*賞味期限切れのものが増えてきた
以前買って家にあることを忘れ、同じものを何度も買ってしまい、結果冷蔵庫が同じもので満たされてしまうことがあります。
冷蔵庫のものが増え、賞味期限を切らしてしまうことが増えることもあります。
さいごに
上記は、10年間在宅や施設で生活する認知症の方と関わり続けた筆者が経験から感じた認知症の初期に見られる生活への影響です。
したがって、上記に当てはまったからといって、認知症であると断言できるわけではなく、一人でも多くの方の「気付くきっかけ」に貢献できればと考えています。
認知症は何もわからなくなる症状ではありません。
早期に異変に気付き、周囲の関わる人たちが認知症を正しく理解し、適切な対応をとることでいつまでも住み慣れた地域、住み慣れた自宅で大切なご家族と生活できるものです。
これまでその方と時間を共有してきた家族だからこそ気づける小さな変化があります。
認知症の早期発見には、その方をよく知るご家族の力が必要です。
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