介護福祉士

介護保険制度の背景と介護現場のあるべき利用者の尊厳の守り方!


日本の介護保険制度の背景

戦後の日本は、食糧不足や感染症により多くの命が失われました。

その後、衛生環境の改善と医療の発展により、多くの命を救うことができるようになりました。

すると今度は、病気は治っても、障害を持ちながら生きていく人たちが出てきたのです。

障害があっては、これまで通りの生活ができません。

家族だけで介護をするにも限界があります。

そこで、2000年より始まったのが介護保険制度です。

介護保険制度からみた、介護現場のあるべき姿とは

介護保険制度の概要

介護保険制度の理念は、加齢に伴って生じる心身の変化による疾病等により介護を要する状態となった者を対象として、その人々が有する能力に応じ、尊厳を保持したその人らしい自立した日常生活を営むことができることを目指しています。

今回は、「尊厳の保持」について詳しく説明していきます。

尊厳の保持

実は、この尊厳という文言は介護保険制度が始まった当初には入っておらず、後から追記されたものです。

すなわち、介護保険制度が始まった当初は、尊厳が保たれない(人権が侵害される)現場が数多く存在していたということが伺えます。

では、現在の介護現場において、尊厳は守られているといえるのでしょうか。

例えば、ある施設を考えてみます。

7時の朝食に間に合うように、入居者のモーニングケア、すなわち、オムツ交換をして、ベッドから車椅子へ移乗介助をして、顔をふき、入れ歯を入れて、髪をとかし、食堂へ移動する、これを入居者50人です。

日勤の出勤前なので、職員2人で対応しなければなりません。

朝起こす時に、全員に丁寧に声かけはできているでしょうか。

まだ起きたくないという入居者の意向を受け入れて、再度声かけをする余裕はあるでしょうか。

オムツ交換の際、全員カーテンを引いてプライバシーを守れているでしょうか。

突然不穏になる入居者がいれば、その場で対応しなければなりません。

職員一人が対応に追われれば、そこで業務はストップしてしまいます。

尊厳を保持することの大切さは痛いほどわかっている。

でも、介護の現場は常に人手不足ですから、時間に追われ、業務量であふれていることも確かです。

もちろん、すべての現場がこうではないし、尊厳を守るケアを実現している施設も数多くあります。

しかし一方で、このような現場があることも事実です。

では、どうしたらこの状況を少しでも改善することができるでしょうか。

現場の職員で話し合いをする

現場の動きはすでに出来上がっていることが多く、それが当たり前だと思って意識もせずに働いています。

その業務をもう一度振り返り、少しでも改善できることはないかを職員全員で意見を出し合います。

ここで大切なのは、管理者が考えるのではなく、職員全員が考えるということです。

管理者はファシリテーターとして、全職員の意見を引き出しまとめ役に徹します。

誰かに言われるままに働くのと、自らが「良くしたい!」という思いを持って働くのと、どちらがやりがいを感じるでしょうか。

一人一人の職員の士気を高めることによって結束力が強まり、状況の改善へと繋がっていくはずです。

尊厳

本人の視点で考える

人手不足の現場では、どうしても入居者よりも職員の都合が優先されがちです。

はじめは止むを得ずそうなってしまった状況が、いつのまにか当たり前になってしまっている。

これが介護現場の怖いところです。

例えば、車椅子のブレーキのかけ忘れがあり、時間をかければふらつきながらもズボンを上げ下げし、自分でトイレ動作ができる人がいたとします。

しかし、時間的にも気持ち的にも見守っている余裕がないと、車椅子のブレーキも、ズボンの上げ下げも介助してしまいます。

その方が早いからです。

つまり、できることを奪ってしまうのです。

毎日行う生活動作は何よりのリハビリですから、使わなければ、体の機能は退化します。

この人は、さらに機能が低下し介助量が増えるという悪循環にはまっていってしまうことでしょう。

では、この人にとって何がいいか?という視点で考えてみます。

ふらつきによる転倒リスクが怖いから、安全性を優先してズボン上げ下げの介助をするべきですか?

それとも、できることは自分でするように、自立にするべきですか?

私の意見は、「その人の、できるところは自分でしてもらい、できないところだけを手伝う」です。

できることは自分で行うことが、機能維持につながります。

しかし、ふらつき転倒し骨折してしまっては本末転倒です。

車椅子のブレーキを忘れてしまうなら、「ブレーキかかっていますか?」と声かけをする。

ふらつきがあるなら体を支える介助をして、ズボン上げ下げは自分でしてもらう。

その積み重ねによって、その人のできることは維持され、向上していくのです。

悪気なく介助しているその行為は、実はその人のできることを奪い、意欲を奪ってしまっている可能性があるのです。

さいごに

介護の現場においては、知らず知らずのうちに尊厳を脅かしてしまう状況があります。

その人にとって何が良いか、自分だったらどうしてほしいか、という視点に立ち、日々のケアを振り返る機会を持ち続けることが大切です。

Follow me!

-介護福祉士
-,

PAGE TOP

© 2020 カッチン.com介護福祉士の独り言 Powered by AFFINGER5