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目次
面会制限
新型コロナの影響で、多くの病院や介護施設では面会に制限が出ています。
病院や介護施設の方から呼んだ場合以外は面会は自粛してください、という所もあります。
キーパーソンを1人決めて入館許可書を首からぶら下げて、玄関先で検温をして、手指消毒をして、マスクを着用したうえで10分未満の面会ならOKという所もあります。
夕方のニュース報道番組でも、このような介護施設での問題を取り上げていました。
ある介護施設では、入居者の部屋には入れませんが、玄関先にスタッフが出向き、iPADでのオンライン面会を行っていました。
またある施設では、1階の窓がハイサッシになっていて庭が見えるようになっているので、それを利用して庭と施設の内側からガラス越しに面会をするという方法が取られていました。
スケッチブックに字を書いて筆談です。
面会者が咳
5月のGW中のある日、ある病院でこんな事例がありました。
患者のMさんの娘さんが面会に来られました。
その病院では、キーパーソンを1人決めて入館許可書を首からぶら下げ、玄関先で検温をしてマスク着用、手指消毒の上で10分未満の面会となっています。
娘さんの検温をすると36.6℃だったのですが、病院に入ってくる時も検温中も空咳をされていたのです。
娘さんに聞くと「たぶん、黄砂が飛んでいるからだと思う」と言います。
患者のMさんは、終末期で4月の末に主治医より「長くて5月いっぱいだと思います。6月が迎えられるかどうか・・・」と説明を受けています。
娘さんは2~3日に1回は面会に来ていて、患者のMさんも娘さんが来るのを楽しみにしているようです。
Mさんは2日前から個室に移っています。
ちなみに、Mさんが入院している病院は、特定警戒地域の県内です。
未だ緊急事態宣言は解除されていません。
病院がある市内では、50人以上の感染者が出ています(大半は病院関係者)
そしてこの病院はベッド数100ほどの病院です。
さあ、熱は無いけど咳をしている娘さんですが、面会を許可するべきか?あなたならどう対応しますか?
考えられる対応
面会を認めない
・今日は帰ってもらい、かかりつけ医を受診するように指示する。「風邪や花粉症や黄砂の関係なら、治癒後に面会に来てください。今無理をしていよいよの時に立ち会えないことだけは避けましょう」と言う。
・咳があるのなら、面会はできないことを告げてすぐに帰ってもらう。
・咳が治まるまでは、キーパーソンを他の人に交代してもらう。
・Mさんの様子が心配だと思うので、今日の様子をお話しして、「咳が出ているのなら今日は面会を止めましょう」と告げる。
・院長に報告して、聴診や胸部レントゲンや採血などの診察・検査をしてもらう。
・医師に報告して、保健所に連絡してPCR検査を受けてもらう。
・いよいよの時はこちらから連絡するので、それまでは面会を自粛するようにと告げる。
面会を認める場合
・咳が出ているからと言っても、必ずしも新型コロナ感染症とは限らない。多くの場合はそれ以外が原因だし、Mさんは個室なのだから、マスクをして手指消毒をしたうえで面会を許可する。
・マスク、ヘアーキャップ、防御服、手袋を着用してもらい、手指消毒をして面会を認める。
・終末期という事を考慮して、上記のような感染対策を徹底し、清潔と不潔の区別も説明して面会を認める。動線も分ける。
・比較的近くにドライブスルー方式でPCR検査を受けられるところがあるので、そこまで娘さんを連れて行って、PCR検査を受けさせ、陰性なら面会OKとする。
正解は無い
上記に挙げた以外の方法もあるだろうし、この中のどれが正しいかを結論付けることはできないでしょう。
この事例の場合、「終末期」ということで、いっそう悩ましいケースです。
終末期でなければ、おそらく大半の人が「面会は認めません」と答えるのではないかと、私は考えています。
このような事例の場合に極力避けなければならないのは、いよいよの時・臨終のときに立ち会えないということでしょう。
今までマメに面会に来ていた人であれば、臨終に立ち会えないと言うのは、後々の心の大きな傷となることが多いです。
万が一娘さんが新型コロナであれば、臨終のときに立ち会うことができないという事態になることも考えられます。
保健所に大袈裟に事態を説明してでも、何とかしてPCR検査を受けてもらうのがベストだ!と話す人もいました。
発熱は無く空咳だけで黄砂も飛んでいたと言う状況下で、はたして保健所がPCR検査を受けさせるかどうかも、悩ましいところでしょう。
面会の目的は
また、なぜ面会に来るのかというご家族の気持ちを理解することも重要だと思います。
自分の顔を見ると親が安心すると思うから、親の様子が知りたいからなどが大きな理由でしょう。
いくつかの介護士施設がオンライン面会を取り入れているのは、このような気持ちを受け止めたからだと考えます。
オンラインが難しいのであれば、できるだけ患者さんの様子をご家族にお話しすることも、気持ちを落ち着かせることになるでしょう。
第2波や第3波に備えて
新型コロナウイルスのために、4月18日に全国に緊急事態宣言が発令されましたが、5月14日から39の県で解除となりました。
しかしまだ解除されていない府県の病院や介護施設では、緊張状態が続いています。
緊急事態宣言が解除された県や感染者が少ない県でも、また第2波や第3波が来る可能性があると言われています。
万が一、この事例のように面会に来た人が咳をしていたら、これとよく似た悩ましいケースが起きたら、どのように対応するのか?
非常に悩ましいケースですが、考えるきっかけになればと思います。
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