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目次
拘縮
施設で寝たきりの利用者さんの体が、だんだんと硬くなっていく。
そのような経験をもつ介護士さんは多いのではないでしょうか?
体が硬くなること、つまり拘縮によって、着替えやお風呂は大変になります。
それに加えて、褥瘡ができやすくなるなど、様々な悪影響が引き起こされます。
そして、拘縮や褥瘡を防ぐことができるのは、他でもない介護士です。
今回は拘縮や褥瘡予防としてのポジショニングの理論について解説していきます。
そもそもなぜ硬くなるのか
はじめに、どうして拘縮ができてしまうのか考えてみたことはありますか?
「寝たきりになっているから」
「動くことがないから」
半分正解で、半分不正解です。
寝たきりで動くことができないのであれば、寝たきりの方で、体がぐにゃぐにゃになってしまう人はいないはずですよね。
特に神経難病の方や、脊髄損傷の完全損傷の人は硬くなるというよりも、体がぐにゃぐにゃになってしまう人が多いです。
それでは、どうして拘縮が生じてしまうのでしょうか?
答えとしては体が痛くて、もしくはバランスが悪くて、その不快感を減らすために体に力が入ってしまい、その結果、体が固まってしまうことが多いです。
全てのケースがそれに該当するわけではありませんが、体がだんだん丸まって小さくなるような方の場合は、大半の原因がその不快感によります。
例えば、長編映画をずっと同じ姿勢で見ていると、体が痛くなってきますよね。
私たちの場合は身動きができますし、筋肉も高齢者の方よりもたくさんあるので、痛みが生じにくいですし、自分で解決することまできます。
しかし、高齢者の方は自分で体を動かすことができません。
そのため、痛みから逃げるためにも体の筋肉に力が入り、ガチガチになってしまいます。
ポイントはリラックスできる姿勢
体に力が入ってしまうので、体が固まっていきます。
それでは、私たちは利用者様にどのような姿勢で過ごしてもらうことを意識すればいいのでしょうか?
1番意識するのは、本人がリラックスできる姿勢を取ることです。
「横になっているんだから、楽な姿勢なんじゃないの?」
はい。これが一番良くある間違いです。
ベッドに横になっていても、本人にとっては辛い姿勢であることがあります。
信じられませんか?
簡単に体験できる方法があります。
それは、斜面に横になることです。
体の右側が坂の上で体の左側が、坂の下の方向になるように横になってみてください。
どうですか?リラックスできますか?
ほとんどの人は体が左側に転がってしまいそうになりますよね。
それを防ぐために右に転がるような力を入れているのではないでしょうか?
この状態を一晩続けたら、どこかしら拘縮ができるかもしれませんよ。
少なくとも、体に強張りが生じるはずです。
高齢者の方は加齢による変形や拘縮のために、このような状態が平らなベッドの上に寝ていても起きてしまいます。
あなたの施設にも、寝ているのに体の筋肉に力が入っている人や寝返りに抵抗してくるような人がいますよね。
その人たちは、拘縮予備軍です。
さらにいうと、褥瘡の予備軍にもなります。
その状態をポジショニングで、防いであげることができるのは介護士だけです。
どのような、ポジショニングが望ましいかというと、利用者さんがリラックスできる姿勢を作ってあげることです。
先ほどの例で考えてみましょう。
先ほど、坂の斜面に寝転がってみましたよね。
この時に体のどちら側に圧がかかっているでしょうか?
体に力が入っている人は、坂の下側よりも坂の上側の方に力が入ります。
なぜなら、坂の下側に体重をかけてしまうと転がってしまうからです。
なので、体の下側に体重をかけても転がらないようなポジショニングを行いましょう。
坂じゃなくて、平らなところに寝かせればいい?
それはそうなんですが、今回の例は健常者が高齢者の体や麻痺の人の体を体験するための環境設定です。
麻痺という状態は変えられませんよね?
他の方法を考えてみましょう。
そうです。
みなさんが、いつも取り組んでいるように、クッションを体の左半分にいれていただければ楽になります。
クッションをいれて、左右の体にかかる圧が等しくなるようにクッションの厚さや硬さを調節しましょう。
ポジショニングの実際
例の方は坂の上に寝転がっているのでわかりやすいですが、ベッドの上に横になっている人をどのようにみれば良いのでしょうか?
おそらく、ベッドの上なのでリラックスできているように見えることでしょう。
経験を積むとぱっとみただけで、どこに力が入っているのか見えてきますが、はじめのうちは難しいです。
なので、ベッドと利用者さんの間に生じている圧を見ていきましょう。
やり方は利用者さんの体の下に、自分の手を差し込むだけです。
体の元々の重さ以上に、手を潰してくるような圧を感じる場合、そこを基準にしていきます。
ポジショニングを行い、その圧が解消されるように調節します。
右のかかとに圧が生じている場合、ふくらはぎなどにクッションをいれて圧を流してあげましょう。
圧が集中している体の周りには、浮いている部位があることが多いので、そこに体重かけられるように調節してみましょう。
そうすると自然に体の力が抜けてくるはずです。
まとめ
今回は拘縮予防のための、ポジショニングについて解説しました。
はじめのうちは、わかりにくいかもしれませんが、利用者さんが楽に過ごせるようなポジショニングを心がけてみてください。
短期間では、効果が見えてきづらいですが、長期では大きな効果が発揮されます。
介護の負担軽減にもなりますので、明日からさっそくはじめてみてはいかがでしょうか?
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