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目次
夜勤の経験談
入所施設の介護職員は早番、日勤、遅番、夜勤とローテーション勤務です。
平日の日勤帯は出勤者も多く、協力して業務をこなしていくことが可能です。
しかし夜勤はその業務内容や作業の進め方が、日勤帯とは大きく異なってきます。
また職員の配置人数も最低人員に限られ、夜勤の相方が仮眠中となれば、一人で対応せざるを得ないといった状況もあります。
夜勤経験者の介護職員であれば、誰もがこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
排泄介助
夕食の食事介助が済み、遅番も勤務を終えると、あとは夜勤者のみとなります。
夜勤者の食事休憩後、夜のオムツ交換が始まります。
日中は職員も多く、定時のオムツ交換以外でも適時オムツ交換を行ったり、ナースコールの対応を行ったりすることも可能です。
しかし夜勤となるとその対応も人員的に難しく、再優先されるのは利用者の安眠です。
尿漏れで冷たい思いをさせたり、眠りを妨げたりする可能性は、出来れば避けたいものです。
また職員側としても、余計といっては失礼な話になりますが、仕事を増やしたくないのも事実です。
日中のオムツ交換よりも、しっかりと排泄介助を行います。
パットも尿吸入の良い厚手のパットを使用します。
時間帯に応じて、パットの種類を使い分けるのは介護職員の使命。
尿漏れを恐れて終日厚手のパットを使用すると、皮膚トラブルの原因となったり、コスト面で消耗品物品担当者から怒られます。
そんな状況や考えの元で排泄介助を行っていると、利用者が排泄介助を拒否します。
その理由としてはすでに眠りについていて、眠りを妨げられたことに怒りを覚えた。
本来であれば同性介助が基本ですが、異性介助せざる得ない状況であっても、利用者が頑なに拒否する。
便失禁していて、気持ち悪い思いがありながらも、羞恥心から排泄介助を拒むといった具合です。
どんなに拒否されても、排泄介助をしないわけにはいきません。
認知症を患っている利用者に対して、タイミングをずらしたり、相方の介護職員に介助を代わってもらったりします。
懐中電灯の先に見えたのは
やっとの思いで夜の排泄介助を終えると、夜勤者の相方は仮眠に入ります。
その間は利用者の見回りという名の安否確認、コール対応となります。
見回りの必須アイテムは懐中電灯、体温計、血圧計、パルスオキシメーター、PHSです。
必要に応じて体位交換や呼吸確認、オムツが外れていないかなどを確認しながら、利用者の居室を回っていきます。
スヤスヤと寝息を立てて寝ていてくれるのが一番ですが、そんな簡単なものではありません。
呼吸確認しようにも呼吸が浅く、口元に手を近づけて呼吸を感じようとしたり、胸の上がり下がりを目視しようとしたり。
すると利用者がその職員の存在に気付き、ビックリして起きてしまう場合もあります。
認知症の利用者の中には、興奮し始めてしまう方もいます。
一番驚くのは居室のベッドに居ない時です。
日中も自分でトイレに行ける利用者であれば、居室近くのトイレへ行き、小声で声掛けすれば済みます。
手引き歩行やシルバーカーを使用しないと歩けない利用者が、杖やシルバーカーも使わずにベッドに居ないとなると、どこかで転倒して怪我をしているかもしれません。
居室付近の共有スペースを探すと、夜用のオムツを自分で外し、廊下や手すり、ラウンジの椅子には便が付着。
下衣を全く着用していない状態でそこに佇んでいる利用者を発見、といった場面もあります。
近くのトイレへ誘導し、清拭、オムツと下衣の着用、居室へ誘導の作業が見回りに追加されます。
よって見回りの時間も超過、こうして見回りにはどんな事件が待ち伏せているのか、分からない状況で常に緊張感を抱きます。
利用者の体調不良
夜勤帯は職員が限られているにも関わらず、体調が急に悪くなる場合も多いものです。
見回りの時に呼吸確認が出来ない、明らかに呼吸状態が悪い、利用者本人からのナースコール、同室者からのナースコールなど、その発見状況はさまざまです。
夜勤帯は医療従事者である医師や看護師が不在となります(介護老人保健施設等は除きます)。
介護職員が医療的な判断はできないとしながらも、結局は様子観察を続けるのか、ドクターコールで医師の判断を仰ぐのか、119番で救急車を要請するのか。
現場の介護職員が判断することになります。
様子観察かドクターコールであれば、現場の職員数は変わらないので、業務はそのまま継続となります。
しかし救急車の要請となると、現場の介護職員が施設職員として救急車に同乗することになりますから、その間はさらに人員が減ることになります。
また救急車の要請に伴い、必要な準備や関係者への連絡、他のセクションへの協力要請と報告など、多忙を極めます。
そんな時に限ってナースコールが立て続けに鳴ったり、場の雰囲気を察知したのか、眠りから覚めて徘徊を始める認知症の利用者が現れたりします。
利用者の急変の上に事故が重なったりすれば、精神的に職員自身を責める原因にもなります。
余計なストレスを感じたくもありませんし、夜勤明けで事故報告書の作成など、考えたくもありません。
認知症の方を責めることはできませんが、さすがに今のタイミングは勘弁して欲しいと願ってしまいます。
夜勤の心得
利用者へ安心・安全・安楽を提供するのが、介護職員の務めではありますが、夜勤帯の業務は常に緊張して取り組む必要があります。
利用者は全員が高齢者なので、普段は元気に過ごしているといっても、夜中に急に体調を崩すことも考えられます。
夜勤者は利用者の命を預かっているといえます。
その責任の重さは命の重さでもあるからです。
医療や福祉の現場に従事することへの使命感、やりがいは人それぞれではありますが、夜勤をやり終えた後の達成感と充実感、開放感、満足感は何とも言えない幸福感があります。
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