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目次
認知症の症状
認知症の代表ともいえるものは?と聞かれると殆どの人が記憶障害と答えるでしょう。
では記憶障害以外の症状は何がありますか?と聞かれると1つか2つの症状が出てきます。
しかしそれだけで患者を説明できるほど認知症は甘い病ではありません。
多くの認知症患者が入院するきっかけとなるものは「対人関係」です。
なぜ対人関係が原因となるかというと周りの人に理解できない行動をとるからです。
認知症は症候群であり一つの症状を指すものではありません。
まずは認知症にはどのような症状があるのか簡単に知っておくと関わりやすいでしょう。
これからお見せする症状はほんの一部ですがよくある症状です。
記憶障害
記憶というものは時系列で並んでいるだけではなく優先順位も存在します。
人>場所>時の順で優先順位が加わります。
さらにそこに自分が体験したものか否かによっても優先順位が変化します。
認知症の方は時間から忘れ場所がわからなくなり人もわからなくなってしまいます。
更に人がわからなくなった後は食べ物か否かの区別もあいまいになり俗に言う異食が始まるのです。
どこまで記憶が残存しているか知ることが重要となります。
見当識障害
これもよく聞く言葉ですが簡単に言うと自分の身の回りの状況がわからなくなることです。
時間軸がわからなくなると昼夜逆転してしまい、道がわからなくなると迷子になる。
人がわからなくなると家族に迷惑をかけるような結果に繋がります。
周囲が迷惑するだけではなく本人は「なんで私はここにいるの?帰りたい」と思ってしまいやすく入院した患者様はほとんど同じセリフを言われます。
恐ろしいことに見当識障害があるだけならよいのですが自分の信じたくない入院という事実を告げると決して認めずより興奮するきっかけを作ってしまいます。
わからなくなった際は自分で納得ができるよう目印をつけたり周囲の行動を見せてあげると落ち着かれやすくなります。
遂行機能障害
これは人が一連の流れをする際に必ず必要になるスキルです。
目標の設定→計画→実行→修正のサイクルで作られています。
カレーを作るとしましょう。
目標は「ドロドロのカレー」です。
次に計画を立てます。
まずご飯を炊き、炊いている間に野菜を切り、油でいため、湯がき、ルーを入れて煮込む、ご飯ができるとかけて完成としましょう。
計画を実行しましたが思ったよりカレーが水っぽくなってしまいました。
ルーを足して修正をします。
これで目標の「ドロドロのカレー」が完成します。
しかし認知症の方はこの「計画」ができなくなります。
そのため絶対で徒歩でたどり着けない自宅まで歩いて帰ろうと言い始めたり、退院するための手段をバスで帰るだけなどと言ってしまうのです。
できるだけ単純で工程の少ない作業に環境を整えてあげると認知症の人は過ごしやすくなります。
例えば食事を作ることが難しく火事になる場合は配達に依頼し弁当を受け取り食べるのみの工程にするなどです。
注意障害
非常に目に見えにくく見落とされやすい症状です。
一番初めはこの症状から始まります。
少し進行すると人が話しているとき明後日の方向を向いたり気が散るようになります。
その結果わがまま、身勝手などの言葉でまとめられやすくなります。
人が集中するためには集中を要する範囲と時間が重要になります。
認知症の方はこの範囲と時間が極端に小さくなります。
1対1でなら話せるが数人の中で話すと会話についていけなかったり、数分話していると極端に理解が悪くなることが例に挙げられます。
できるだけ刺激の少ない環境で気の散らないようにしてあげると本来の力を発揮しやすくなります。
理解力の低下
名前の通りですが理解できるものにも順序があります。
既存の知識に依存しているものか否か、抽象的か具体的かというものが代表的ですね。
先述した記憶障害も絡まることですが認知症の方は新しいことが覚えにくくなるため既存の知識に依存した話には応じることができますが新しいパソコンやSNSの話をしても全く理解できないことがあります。
また、具体性が乏しくなるほどイメージができず混乱されます。
できるだけ具体的な言葉で伝えてあげると理解を得やすくなります。
症状と心
簡単によくある症状をお話ししましたが、この症状に心が付随してきます。
BPSDといわれる行動心理症状です。
難しい言葉ですが簡単に言うと認知症の症状に付随する悪い心の動きです。
例えば記憶障害を持っている人が「お前がものをとった」といってしまうものとられ妄想などが代表的ですね。
このBPSDの発生のきっかけは周囲の環境にあると言われています。
症状が理解されないがゆえに冷たい言葉を投げかけられると当事者の心は歪んでしまいます。
多くの症状を知り正しく理解してあげることで認知症の方はBPSDを起こしにくいと言われています。
簡単にですが病としての認知症と心の動きについてお話させていただきました。
皆様の臨床の一助となれば幸いです。
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