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新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症の勢いは衰えることを知らず、ますます増えています。
TV画面に映し出される棒グラフを見ていると、ジェットコースターや坂道ならひっくり返りそうなくらい、急勾配の上昇です。
そしてついに大阪では、外出自粛の赤信号が灯りました。病院のベッドにもう余裕がありません。
大阪府知事の吉村さんは、看護師不足を何とかしないといけないと危機感をあらわにして、自衛隊から派遣してもらう方向で連絡を取って進めている所だと仰っていました。
現場の医師たちは「薄い氷の上を走っているような状態」だと言います。
大阪市内で看護師をしている私の友だちは、「1万メートルほどの距離だと思って必死になって走っていたら、フルマラソンだったという感じが第2波。
そして今は100キロ走れと言われている気分。もう限界をとっくに超えている」と言っていました。
そんな中、こんな話も聞きました。
「ベッドが埋まってしまったのは、元の場所に戻ることができない高齢者も多いから」
自立から要介護になると
コロナに罹る前は自立した生活を送っておられた高齢者でも、長期間ICUに入ったり長期間病室で閉じこもっていると、筋力が低下したり認知能力が低下してしまいます。
そのため、コロナによる肺炎などは治って元気になったとしても、自立度は落ちてしまします。
その結果、要支援や要介護となってしまう人もいるのです。
そうなると、今まで住んでいた自宅に戻ることができないというケースも出て来ます。
そこで、受け入れてくれる老人ホームなどを探すのですが、なかなか簡単には見つかりません。
「1週間だけでも4~5日や3日だけでも家に連れて帰れないですか?その間に何とか探しますので」などとご家族に訊いてみるのですが、なかなか難しいようです。
住宅事情から、あと一人寝る場所を確保することが困難だったり、ご家庭の事情がいろいろとあったりということなのでしょう。
ご家庭に帰るのが難しいだけではなく、老人ホーム等に入居するのも難しいケースが少なくありません。
なかには「コロナ感染者ですか?もう一度PCR検査や抗体検査をしてください。これらの検査の結果次第で考えてみます」と、コロナになった人は受け入れたくないと露骨に言う施設長もいるそうです。
そう言いたくなるのも無理のない話なのかもしれませんが、こうやって退院後の受け入れ先が決まらない高齢者がベッドを塞いでしまっているのかもしれません。
また、自立でサービス付き高齢者住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームに入居されていた高齢者がコロナ罹った場合も、いろいろとややこしい問題があります。
今までは自立だった入居者が、要支援や要介護の人や医療的な行為が必要になった場合は対応できないケースがあるのです。
「うちは自立の人だけの施設なので、要介護になった場合は退所して頂く取り決めになっていますので・・・」と言われてしまうのです。
自立から要介護4までOKだという施設でも、自立の人が生活するフロアと介護を要する人が生活するフロアを分けているケースも多いです。
すると、「自立のフロアから要介護のフロアに移って貰わないとダメですが、今現在、要介護のフロアは空いていないのです。空くまで待つか他の施設に変わって貰うか・・・」などと言われることもあります。
こうして、退院後の行き場がなくなった高齢者は、病院のベッドで待機するしかありません。
病院の地域医療室のスタッフも必死になって、受け入れ先を探しているようですが、なかなか簡単には見つからないと言うのが現状です。
できれば、病院と老人ホーム等の施設が連絡を取り合って、お互いに退院後をどうするかを早め早めに考えておく必要があります。
コロナ疑いで病院に運ばれた時点で、いろいろなパターンを考えて事前に話し合っておくことも必要になるでしょう。
高齢者にとって、住む場所が変わるという事や環境が変わるという事は大きなストレスになります。
環境の変化で認知症が悪化するということも少なくありません。
それでなくても、コロナに罹って病院に入院していたと言うことは大きなストレスでしょう。
できれば元の施設に、元の場所に戻るのが一番いいのですが・・・
老人ホームも限界寸前
医療現場がもう限界だというのと同様に、老人ホームなどの介護施設も、もう限界だという声を聞きます。
介護は何かと体と体を密着させることが多いし、入居者に顔を近づけて話すことや寄り添うケースも多いです。
マスクの意味が分からない、マスクをつけなければいけないことを忘れてしまう等で、マスクをつけてくれない入居者もおられます。
近隣の老人ホームでクラスターが発生したというニュースを聞くと、とても不安になるでしょう。
それだけに、介護現場で働いているスタッフは緊張を強いられるしストレスも大きいことを疑う余地は全くありません。
「医療現場だけじゃなくて、介護の現場ももう限界よ!」と、声を大にして叫びたいと思っている人もおられることでしょう。
老老介護
全労連の2018年の調査によると、60歳以上のヘルパーさんが37.7パーセントで、20歳代のヘルパーさんは1パーセントしかいないと記載されていました。
まさに現場は「老老介護」となっています。
いつも疲れている老体にムチを打って何とか頑張っている、という人も少なくないのでしょう。
やはり60歳代の人と20歳代の人では、疲労度も違うだろうし仕事のスピードも違います。
疲れるとミスを犯すのではないかと戦々恐々としていると、それもまたストレスになります。
介護現場には多くの問題が山積みになっているのが現状な上に、コロナ禍に見舞われてしまいました。
色々と大変ではありますが、何とか乗り越えましょう。